息抜きにこんな本(雑談)

[掲示板: 〈過去ログ〉SSS タドキストの広場 -- 最新メッセージID: 9999 // 時刻: 2024/12/25(15:32)]

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9885. 息抜きにこんな本(雑談)

お名前: 杏樹
投稿日: 2004/2/5(01:21)

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この間おもしろいなーと思った本です。日本語です。

「はじめての言語学」
黒田龍之介著:講談社現代新書

「はじめての」というだけあって、わかりやすくて、しかもおもしろい!です。
言葉とはどういうものか…ということを解明するための方法がいろいろ提示されてて、「言語学ってこんなふうに言葉を捉えているのか」ということがわかったような気になります。

そもそも「言語」とは何か?音についての考え方、文法とは何か。文法は文法だろ、と思ったら大間違い。文法にも学校で説明しているような文法だけではなく、対象言語を細かく観察し分類し整理をするのに力を注ぐ「記述文法」とか、もっとトータルに言葉を考えようとする「生成文法」とかあるんですって。こういうことを知ると、文法って絶対的なものじゃないんだとわかってほっとします。結論は「あらゆる言語に普遍的な文法なんて、果たしてあるのだろうか?」です。

あと「地味な言語学」と「にぎやかな言語学」とか。
言語学には「単語」という用語はないとか。
「世間で信用されている某社の大型国語辞典」に載っている言語学用語の説明は、はなはだ不正確で役に立たないとか。

日本語を考えるのにも、外国語を学ぶのにも参考になります。といっても、具体的な学習方法ではなくて、「ことば」というものにたいする考え方を示してくれます。最後の方で「全ての言語は平等である」と力説しているのが心に残りました。
そしてこの文章も引用しておきます。
「母語が習得できたのなら、どんな言語だって習得できるはずだ。ただし個人差はある。すいすいと身につけてしまう人もいれば、なかなか覚えられない人もいる。それは走るのが速い人もいれば遅い人もいるのと同じだ。母語以外の言葉を身につけようと思ったら焦らないことですね。みな、すぐ焦るんだから。どんなものでも時間がかかる。」


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9921. Re: 息抜きにこんな本(雑談)

お名前: ただ
投稿日: 2004/2/6(00:42)

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杏樹さん、こんばんは。ただです。

〉この間おもしろいなーと思った本です。日本語です。

〉「はじめての言語学」
〉黒田龍之介著:講談社現代新書

おお、1〜2年前、TVロシア語講座の講師をやってた人だ!

いろんな言語に興味を持っているので、興味深い本です。
ご紹介ありがとうございました!

(ちょっとゴミレスかと思いつつ、えいっ、投稿しちゃお)


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9962. 御参考までに

お名前: 慈幻 http://www.memorize.ne.jp/diary/96/28454/
投稿日: 2004/2/7(12:12)

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どうも慈幻です。

〉この間おもしろいなーと思った本です。日本語です。

〉「はじめての言語学」
〉黒田龍之介著:講談社現代新書

とりあえず、面白そうなので買ってありますが、まだ目を通してません。

〉そもそも「言語」とは何か?音についての考え方、文法とは何か。文法
〉は「文法だろ、と思ったら大間違い。文法にも学校で説明しているよう
〉な文法だけではなく、対象言語を細かく観察し分類し整理をするのに力
〉を注ぐ「記述文法」とか、もっとトータルに言葉を考えようとする「生
〉成文法」とかあるんですって。こういうことを知ると、文法って絶対的
〉なものじゃないんだとわかってほっとします。結論は「あらゆる言語に
〉普遍的な文法なんて、果たしてあるのだろうか?」です。

その辺の議論は大変面白いので、そういうのに興味をお持ちでしたら、次
の本をお勧めします。

酒井邦嘉「言語の脳科学 脳はどのように言葉を生み出すか」中央公論新
社刊

個人的に面白いと思ったのは、特殊な失語症の中に、周期的に母語と第二
言語のどちらか一方しか使えなくなるという症例=「交互対抗性失語症」
というのがあるそうです。

これによると、例えば、母語が使える時には第二言語が使えなくなってい
るそうなのですが、この時に、母語から第二言語への翻訳は可能なのに、
その逆の第二言語から母語への翻訳はできなくなるという奇妙な現象が起
こるとのことです。

仮に、第二言語の発話自体が問題ならば、第二言語に翻訳して話すことが
不可能になる筈なのに、実際はその逆であるということです。

つまり、ある言語の発話能力と、ある言語への翻訳能力は機能としては独
立していることとなります。

そうすると、現在の日本で主流となっている英語教育、即ち「英語を和訳
する」ことをどれだけやっても、向上するのは「英語を日本語に翻訳する
能力」であり、「英語を英語として理解する能力」の向上には直接結びつ
かないということではないかと(笑)

他にも、「生成文法」について基本的な説明とその脳科学的な解釈とか、
手話に関する解説とか色々あって面白いです。

それと、第二言語習得そのものについては、現在、読書中ですが、

ロッド・エリス著 牧野高吉訳「第二言語習得のメカニズム」ちくま学芸
文庫

がお勧めです。

こちらは会話主体の研究のようですが、「第二言語を習得するとはどうい
うことか?」ということが様々な側面から語られていて、「多読による英
語習得」を「理論的に考察する」には色々とヒントになる概念や事例が紹
介されていて非常に楽しいです。

後、注文したばかりでまだ届いてませんが、SSSの多読の理論的根拠となっ
ていると思われる、

スティーブン・クラッシェン著 長倉美恵子・塚原博・黒沢浩 訳
「読書はパワー」金の星社

なんかもお勧めかもしれません。

以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。


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