「学習」と「習得」

[掲示板: 〈過去ログ〉SSS タドキストの広場 -- 最新メッセージID: 14976 // 時刻: 2024/11/1(10:25)]

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10193. 「学習」と「習得」

お名前: 慈幻 http://www.memorize.ne.jp/diary/96/28454/
投稿日: 2004/2/12(14:26)

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どうも慈幻です。

酒井先生、秋男さん、アトムさん、突然の発言で失礼します。

〉無意識吸収法と名前を変えませんか?
〉みんなでスポンジになろー!!

先日、

ロッド・エリス 著 牧野 高吉 訳「第2言語習得のメカニズム」ちくま学芸文庫

を読了しました。

それによると、「普遍文法」を唱えたチョムスキーは、人間が生得的に持つ母語
習得の能力を

language acquisition device (LAD: 言語習得装置)

と名づけ、「LADに言語に関する経験が入力されることにより、母語が獲得され
る」という言語習得モデルを提唱しているようです。

そこで問題となるのが、成人が第二言語を学ぶ場合、この「LAD」が機能するの
かしないのかという点で、第二言語習得研究の間でも論争になっているようで
す。

私個人は、交換留学や多読等の経験から、成人でも「LAD」は機能すると思いま
すが、「母語を習得する幼児とは異なる形で」という点が重要かと。

と言うのも、普通は「第二言語」を「意図的に努力して学ぼうとする」からです。

第二言語研究で良く引用されているらしいクラッシェン博士が、

learning (意識的な学習)

acquisition (自然な言語習得)

の区別を提唱したそうです。

私の直感的な印象ですが、成人が第二言語を学ぼうとする場合、「学習」をしよ
うと努力する余り、却って「LAD」が働くのを阻害しているのではないかという
気がします。

逆に言えば、努力するのをやめて「気楽に大量の第二言語に触れる経験を積む」
ことによって、「LAD」の機能を活発化させ、自然に第二言語を「習得」するこ
とが可能になるのではないか、ということです。

多読や多聴が、「LAD」の活発化に有効ということを実証できれば、楽しいこと
になると思います。

以上、要件のみですが、今回はこれで失礼します。


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10209. Re: 「学習」と「習得」

お名前: 古川@SSS http://www.seg.co.jp/
投稿日: 2004/2/12(23:12)

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"慈幻"さん こんばんは

いつも有益な情報をありがとうございます。

〉ロッド・エリス 著 牧野 高吉 訳「第2言語習得のメカニズム」ちくま
学芸文庫

これ、私も読んでみたいと思います。

#今、酒井先生、マリコさん、豊田高専の西澤さん、吉岡さん
とともに、沖縄高専にきています。
よいうわけで、酒井、私、マリコさんは、土曜日まで掲示板への
返答はできないですが、心配しないでください。
酒井先生も爆睡しています!

〉私の直感的な印象ですが、成人が第二言語を学ぼうとする場合、「学習」をしよ
〉うと努力する余り、却って「LAD」が働くのを阻害しているのではないかという
〉気がします。

〉逆に言えば、努力するのをやめて「気楽に大量の第二言語に触れる経験を積む」
〉ことによって、「LAD」の機能を活発化させ、自然に第二言語を「習得」するこ
〉とが可能になるのではないか、ということです。

〉多読や多聴が、「LAD」の活発化に有効ということを実証できれば、楽しいこと
〉になると思います。

そんな気がしますね。どうやって実証するかが問題ですね。


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10298. ご丁寧に有難う御座います

お名前: 慈幻 http://www.memorize.ne.jp/diary/96/28454/
投稿日: 2004/2/15(23:12)

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どうも慈幻です。

〉いつも有益な情報をありがとうございます。

ご参考になれば幸いです。

〉〉ロッド・エリス 著 牧野 高吉 訳「第2言語習得のメカニズム」ちくま
〉学芸文庫

〉これ、私も読んでみたいと思います。

入門書としては綺麗にまとまってると思いますし、多読学会が発足されると
のことなので、SSSの今までの実践を理論的に検討する参考になればと思い
ます。

〉#今、酒井先生、マリコさん、豊田高専の西澤さん、吉岡さん
〉とともに、沖縄高専にきています。
〉よいうわけで、酒井、私、マリコさんは、土曜日まで掲示板への
〉返答はできないですが、心配しないでください。
〉酒井先生も爆睡しています!

本日、大阪の講演会で酒井先生と直接お会いしました。沖縄、福岡、大阪と
連続で出張講演というハードスケジュールの中、非常に元気と言うかエネル
ギーに溢れておられるかのようでした。

〉そんな気がしますね。どうやって実証するかが問題ですね。

多読の方法論そのものが、実証に必要な「条件の管理」と真っ向から対立し
ますので、非常に難しいと思いますが、多読学会の方々の成果に期待したい
と思います。

以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。


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10307. Re: ご丁寧に有難う御座います

お名前: 古川@SSS http://www.seg.co.jp/
投稿日: 2004/2/16(01:30)

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"慈幻"さん こんばんは!

〉〉〉ロッド・エリス 著 牧野 高吉 訳「第2言語習得のメカニズム」ちくま
〉〉学芸文庫

これ、アマゾンで今買ったのですが、

この本を買った人は Maison Ikkoku を買っていますという
おすすめがでて思わず Maison Ikkoku も買ってしまいました。

〉多読の方法論そのものが、実証に必要な「条件の管理」と真っ向から対立し
〉ますので、非常に難しいと思いますが、多読学会の方々の成果に期待したい
〉と思います。

はい。
都会の学校の場合、他にもいろいろな英語学習
をしており「条件の分離」は事実上不可能だと
思います。しかし、各地の高専での英語教育が
多読だけになれば、「条件の分離」がなりでき
ることになり
うまくやれば実証可能なのではないかと期待してい
ます。


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10214. Re: 「学習」と「習得」

お名前: アトム
投稿日: 2004/2/13(00:14)

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慈幻さん、こんばんは。

〉私の直感的な印象ですが、成人が第二言語を学ぼうとする場合、「学習」をしよ
〉うと努力する余り、却って「LAD」が働くのを阻害しているのではないかという
〉気がします。

〉逆に言えば、努力するのをやめて「気楽に大量の第二言語に触れる経験を積む」
〉ことによって、「LAD」の機能を活発化させ、自然に第二言語を「習得」するこ
〉とが可能になるのではないか、ということです。

〉多読や多聴が、「LAD」の活発化に有効ということを実証できれば、楽しいこと
〉になると思います。

慈幻さん、難しい本読まれるんだなー、ということと、
こういうことを研究して本にする人っているんだなー、ということと、
LADに対する慈幻さんの考察の鋭さと、
久しぶりに学術的単語(変な言い方ですが)を読み飛ばさずに読んだ私に乾杯。

※こんなにきちんと書いてくださっている方に、どうしてこういうわけのわからないことを・・・・。

茶化す気はないんです、久しぶりの科学(?)と、無意識ってやっぱりよさそうだってことが嬉しくて。
いや、ほんとに、ありがとうございました。


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10299. 多読学会の成果に期待したいかと(笑)

お名前: 慈幻 http://www.memorize.ne.jp/diary/96/28454/
投稿日: 2004/2/15(23:24)

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どうも慈幻です。

〉慈幻さん、難しい本読まれるんだなー、ということと、

この辺は、英語の多読と一緒で、日本語の多読の成果かと。専門書の類も
量をこなせばすらすら読めるようになるかと。

〉こういうことを研究して本にする人っているんだなー、ということと、

第二言語習得研究と言うのは比較的新しい学問のようです。ただ、1980年
代から1990年代には結構さかんで、幾つかの著作は日本語にも翻訳されて
いますが、余り一般には知られていないようです。

〉LADに対する慈幻さんの考察の鋭さと、
〉久しぶりに学術的単語(変な言い方ですが)を読み飛ばさずに読んだ私
〉に乾杯。

鋭いかどうか分かりませんが、思いつきで書いただけの書き込みに反応が
あっただけでも嬉しいです(笑)

〉※こんなにきちんと書いてくださっている方に、どうしてこういうわけ
〉のわからないことを・・・・。

私自身整理できてる訳ではないので、意見を書いてくださるだけでも、考
えるとっかかりになります。

〉茶化す気はないんです、久しぶりの科学(?)と、無意識ってやっぱり
〉よさそうだってことが嬉しくて。

日本には、「努力すること」そのものが目的化したり、「楽しむこと」を
邪道のように扱ったりする傾向がありますので、「無意識」を信頼し、取
りあえずは「楽しむ」ことを優先するのもアリではないかと。

〉いや、ほんとに、ありがとうございました。

ご参考になれば幸いです。

個人的には、「優しいものをたくさん読むだけで何故難しいものが読める
ようになるのか」という「現象」の検討も含めて、様々な「理論的検討」
も「多読学会」で大いに議論して頂きたいと思っています。

以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。


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