[掲示板: 〈過去ログ〉英語のことなんでも -- 最新メッセージID: 2495 // 時刻: 2025/1/13(15:26)]
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お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/11/22(13:13)
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〉Ryotasanさん、おはようございます。 まりあ@SSSです。
まりあさん、色々教えていただき、感謝しております。論点が整理されてきたので、今回はこちらからお伝えできることもありそうです。
〉〉なるほど。国文学を鑑賞する様な授業ではなく、実用的な国語の授業と言うことですね? (最近は外国人学習者むけの授業を「日本語」、日本人向けの授業を「国語」と呼ぶ傾向があるので、とりあえずそれに合わせて表現しています。)
〉 たとえばですね、児童に傘を1本見せます。
〉 「あなたはこれをなくしました。遺失物係に届けましょう」
〉 というのを、表現練習あるいは運用訓練と考えています。
〉 「傘をなくしました。色は赤で白の水玉模様です。柄のところに
〉 ぶたのはなこ、と名前が書いてあります。昨日学校の帰りバスを
〉 降りるとき忘れてしまいました。こちらに届いていませんか?」
〉 と言わせたり書かせたりすることです。忘れた傘を客観的に正確に
〉 日本語で伝える訓練です。
客観描写の訓練をすれば客観描写がうまくなるという前提でのご提案ですね。この点について後ほど説明します。
〉 国語の作文では、おばあちゃんから傘を買って貰ったときに
〉 どんなに嬉しかったか?とかどんなにそれを大切にしていたか?
〉 とかなくしたときの焦りや失望、親切な人が届けてくれないかと
〉 いう期待、などの情感を綴らせます。芸術的だとコンクールに
〉 入賞出来ますね。客観的描写は出来るようになっていることが
〉 既に前提になっています。
そうですね。The Little House など客観描写の多い本を十分に楽しんできた子であれば、国語の先生が教えなくても客観描写はできるんですが、そういう経験の少ない子には酷ですね。
〉〉英語における同音異義語というのは write と right のような例ですね。日本語の同音異義語は英語よりずっと多いと思いますが、それだけで日本語は難しいとは言えないでしょうね。
〉〉〉 聞き取りやすいということは、少なくとも多聴による習得が
〉〉〉 たやすいでしょう。音そのものを掴む練習が必要な言語もある
〉〉〉 わけですから、ワンステップ飛ばせますよね?
〉〉同様に、その部分だけに注目しても、全体として日本語が易しいという結論までには距離を感じると申し上げたかったのです。
〉 言語学者ではないので、始めに結論ありき、の側面があることは
〉 私自身感じています。
個人的な意見として発表する権利は保証されるべきです。僕たちも、別に感情を逆撫でされているわけではないですよ。(^-^)
〉 インターナショナルスクールでは、先生も英語ですし、親も
〉 子どもの英語を維持したくて高い授業料を払っているのですから、
〉 当然英語のみで話しかけます。子どもをバイリンガルにしたい人は
〉 来ていません。バイリンガルを低く見る人もいることは、寅彦さんが
〉 今週のメルマガで紹介されています。
〉 それでもアジア系の子どもが3割を超えると、アメリカ人の子どもが
〉 日本人の子どもから日本語を覚えてしまって、遊び時間みなが
〉 日本語になります。これを不服として、アジア人の人数制限をする
〉 インターが増えてきました。
〉 アメリカに3年くらい暮らしても、英語がおぼつかない日本人は
〉 たくさんいます。戦争花嫁として渡米した人などで、なかなか
〉 英語が身に付かず、子どもがお父さん(米人)とお母さんの通訳を
〉 していたりとか。
言葉の習得しやすさは、個人個人を取り巻く環境によって変わるということでしょうか。その言語が本質的に持っている難易度とは別に、そういう面は大きいでしょうね。(この点については寅彦さんや杏樹さんが既に指摘しているとおりです。)
〉 ところが日本に来て3年くらいで、ほとんどの外国人が日本語に
〉 不自由なくなります。出稼ぎにくるアジア人、お相撲さんなどは
〉 良い例です。
〉 ここにひとつ落とし穴があります。
〉 日本に来る外国人の中には、日本語を学ぶ意思のまったくない人
〉 が混ざっています。
〉 占領軍の人たちに多くいました。日本は韓国に日本語を強制した
〉 時代もあったのに、米占領軍は英語を強制しませんでしたが、本来
〉 ならば強制も許された状況ですから、日本人が英語で話しかける
〉 のを当然として、自分たちが日本語を覚えようとしませんでした。
〉 フランス人の駐在員夫人などにも、「世界で一番美しいフランス語」
〉 以外の言葉など学ぶ気持ちがなくて、ベトナム人のメイドさんに
〉 買い物させている人とか、ここ神楽坂では毎日見かけます。
〉 米欧人種は、日本人みたいに建前の向こうに本音が透けて見える
〉 人種と異なり、本音は墓場まで持っていく人種ですから、
〉 「けっ、黄色いサルの言葉なんか誰が覚えるか!」と思っても
〉 『日本語は難しいですね』なんていいます。真に受けちゃいけません。
僕の知り合いにはどちらのタイプもいます。何年経っても日本語がうまくならず、休暇中に帰省したらますます日本語が下手になってしまう人もいれば、自分の名前まで日本風の名前に変えて日本人になろうとする人もいます。
〉 英語を覚えたいのに覚えられない日本人はたくさんいるのに、
〉 日本語を「覚えたい意欲のある」外国人のほとんどは覚えています。
〉 日本にいなくても、ゲームやマンガで日本語を覚えているアジア人の
〉 若者はたくさんいます。観光地の土産物屋さんなどは日本語を
〉 話しますが、それ以外にも日本語を話したり読み書き出来る人は
〉 たくさんいますよ。
そうですね。おっしゃるとおりです。
〉 だから日本語はやさしいと感じています。
そう感じるのは、まりあさんの自由です。(^-^) ただ、努力をせずに短期間でうまくなったのか、密かに努力をして短期間でうまくなったのかも考慮にいれておく必要がありそうです。
〉
〉 リスニングがやさしいせいだろう、というのは「日本語って
〉 やさしいんだね、なぜかな?そうだリスニングが簡単だからだろう」
〉 という、あとから探した理由であることは認めます。
短期間に文法から入る方法だとドイツ語やフランス語は難しく感じられる、という話をしましたね。日本語も、どういう風に学ぶかで難易度は違ってくるかもしれません。
〉
〉〉え! そうなんですか? 前のご投稿では時間や量を重視されていたようですが。いずれにしても、日常的な日本語の運用能力を重視した授業をもっと行なうべきと言うことでしょうか?
〉 最近の若者の日本語力貧困化への懸念から、「日本語の運用能力を
〉 重視した授業」を主張する動きが出てきましたね。これについての
〉 賛否は控えますが、今までこういうことを考えもせずに過ごして
〉 こられた、ほっといても日本語は運用出来る、やさしいんだね、と
〉 思う、ということです。
これも、世間で一般的に言われていることが僕には理解できません。PISAの調査で、日本の子どもたちが不得意だったのは応用力の方であり、国語もふくめて基礎学力はトップクラスだったはずですが。
〉
〉 現在、表現練習に時間を割くべきだ、と主張している人たちが
〉 いろいろ発表していますが、外国での国語教育などを調査して
〉 論文を書いているのですから、外国では以前から(少なくとも
〉 日本より早く)やっていたということでしょう?
口頭での表現力については分かりませんが、文章による表現力については The Power of Reading (Krashen, 2004) にまとめが載っています。結論から申し上げれば、文章を書く練習に時間を割いても、文章を書く能力はそれほど伸びないそうです。文章の style は、むしろ読書によって身につくものだと言っています。文章の表現力を伸ばしたかったら、多読というわけです。(ただし、文章を書くことで自分の考えを客観視できる様になるなどの効果はあるそうです。それから、細かい文法事項は、やはり文法の勉強が必要だとも言っています。)
〉〉英語熱という表現は一過性の現象を連想させるので不適切だったかもしれませんね。僕が住んでいる町の書店では、英検やTOEIC対策など、長期的に取り組む難行苦行型の教材が多いです。東京では違うのかもしれませんが。
〉 「受験英語をいくらやっても英語が使えるようにならない」という
〉 ことは(事実かどうかはさておいて)、結構共通認識になっていると
〉 思います。
はい。僕もそう思います。
〉 でも、大学受験生の親たちは、受験英語か、本物の英語を身につけら
〉 れる可能性のある多読か?というところで、「間違っているのかも知れ
〉 ない受験英語」を選び、少しでも良い大学へ、と考える人が多いです。
〉 英語より、少しでも偏差値の高い大学に入ることの方に価値を置いて
〉 います。
この点に関しては、親の方で英語を学んだ経験や大学で学んだ経験が豊富に無いと、判断は難しいかもしれません。英語を学んだ経験も、多読のような方法をどれくらい経験したかによっても大きく違ってきますが。
〉 「受験英語? そんなものいら〜ん。それやらなきゃ入れない大学
〉 など不合格でかまわん!」と、息子に受験問題集というものを1冊も
〉 やらせなかったあきれた親は、SEGでも私くらいのものです。
〉 それで、古川さんにスカウトされて今日があります、あはは。
あはは。それは立派ですね!
〉 言語学者でないものが、各国語の難易度を論じても、それぞれの
〉 断片的な知識や経験の持ち寄りにしかなりませんし、そろそろ
〉 おしまいにさせて頂こうと思います。
今回の議論は、さまざまな観点に触れることができて有意義だったと思います。これからも、まりあ節を楽しみにしています。
〉 英語がやさしいと信じていても、いなくても、これからの多読
〉 とは関係なさそうですし。
そうですね。
〉
〉 長い間お付き合い頂いたみな様、ありがとうございました。
僕からも、ありがとうございました。
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お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/11/23(19:07)
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まりあさんから収束宣言が出されましたが、大事なことに気がついたので追加します。
僕はもともと、英語は易しいとか日本語が易しいという意見に反対しているわけではありません。母語として覚える言語に関して、どの言語でも難易度に大きさはおそらくないだろうとは思っていますが、微妙な差はあるかもしれません。それから、2番目以降に学ぶ言語の学び易さは、既に覚えた言語との共通点が多いか少ないかや、その言語を使っている民族や文化に対してどういう感情を抱いているかによって大きく違うだろうとも思っていました。(寅彦さんが示してくれたデータとは矛盾しないです。) その言語を学ぶための教材が手に入るかどうかも重要です。
まりあさんとの議論でも出てきたように、一つの言語の様々な側面で難易度の差もあります。ご指摘があったように、日本語は母音の種類が少なく、判別し易いです。子音も、五十音表という形で整理されています。ですから、五十音を通してひらがなやカタカナを学ぶこともそんなに難しくないでしょう。つまり、文法や日常会話から入るより、仮名から入る方が学び易い可能性も多いにあるのです。
ひらがなとカタカナをゆっくりでも読めれば、幼児向けの絵本を使って日本語の多読を始めることができます。『こどものとも0.1.2.』や『こどものとも年少版』あたりなら、英語の多読教材より値段も安いです。
勿論、日本語を使いこなせるまでの道は長いです。でも勾配は限りなく緩やかにもできますから、道ばたの花々を眺めたり、風を肌に感じたりしながら、楽しく登って行くことができるでしょう。というわけで、日本語は易しい!