雑談ついでと言っては何ですが、酒井先生へ

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1316. 雑談ついでと言っては何ですが、酒井先生へ

お名前: はまこ
投稿日: 2006/12/12(11:36)

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酒井先生こんにちは。
レスをいただき、ありがとうございました。

以下はめちゃ長っ!になってしまいました。
お忙しい時期でしょうに、申し訳ないです。
と言いながら、そのまま載せまーす。
  
  
〉感覚的にしかわかっていない場合、
〉理性的なぶんしょうにしてしまうのはいいことではないでしょうが、
〉感覚的な文章にするのはよいことだとおもー。

ここが難しいところですねぇ。
感覚は正確に伝わらない。。
先日の新聞の文化面で、「グレート・ギャツビー」を翻訳した村上春樹さんの話が載っていたのですが、
(神戸新聞社がメールで質問し、村上さんがメールで回答したもの)
—フィッツジェラルドの文章は、時間をかけ、経験を積み、じっくり丁寧に読んでいれば、何が言いたいのかは大体わかるんです。でもそれを実際に日本語の文章に置き換えようと思うと、これはもう至難の業になってしまいます。美しい音楽をそのまま言葉に置き換えるようなもので、やっているうちに恐ろしいくらいの無力感にとらわれていきます。こんな事とてもできっこないよなと思います。その自分なりの方法を見つけるために、随分時間がかかりました—
とありました。これは翻訳に際する村上さんの体験であり、そもそも私ごときが表現できないよー、という辛さに付いてこの記事を引用するのもおかしいのですが、この記事を読んだ時、しみじみと噛みしめたわけでして。
私のように熟考に熟考を重ねない(変な言い方ですが)人間が捉えた感覚など、そこここで見聞きする言葉を繋ぎ合わせて伝えればいいのではないか、とも思うのですが、その言葉すら大して持ってないんですね。
なので、只今真剣に集めだしたところです(笑)
  
 
  
■味読の話■
話は変わりますが、少し前に先生が多読3原則を守っていないことを間者猫さんにばらされましたよね。(にゃーさんだったよね?わしとちゃうでー、という声が聞こえんでもないけど。。違うかったらごめんねー)
その中で先生が本に線を引きまくる、という話をされてませんでしたか?
私も引きまくってます。そして内容をまとめて、感想文を書いて、chatの広場に投稿するために、何度も何度も読んでます。線を引くという行為は、別のところでやっぱりにゃーさんの質問に答えた時に言ってらした、「味読」に繋がりますよね。
あ、児童書には一切引きませんよ。そのうち子供たちが英語でも本を読むようになるかもしれないし。その時色分けされた線が引いてあったら申し訳ないし。(読んでくれないと本代がもったいない、と思ってしまう母。)

私がこの1年半で読んだ本は、chatの広場に載せた分と、2ヶ月前に書き終わったけど、広場に載せていない3冊だけなんですね。読んだ本の量が少ないのは、体調が思わしくなかったのと、引越しやいろいろな事があって、読む時間が取れなかったからなんですけど、それでも英語に対する理解はすごく深まってると思うのです。
 
 
  
■語数が英語の理解、自己を見つめる作業と正比例しない話■
掲示板に報告する人は(たぶんしてない人も)、「語数」って気になりますよね。
長く読んでいる内に語数は気にならなくなり、ただ本を読むだけ、と移行していくとは思うのですが、始めのうちは、一日に何語読まなきゃ、とか、1年間で何百万語も読んだ!と語数のプレッシャーと闘ったり、読んだ語数を誇ったり、という事はほとんどのタドキストが経験しているのではないでしょうか。

始めのうちはそれでもいいと思うのです。やがて自分でプレッシャーと闘うことに意味はない、語数を気にして、速く、速くとあせる読書に何の意味もない、と気づくものだと思うし。

私が心配するのはですね、既に実践しているタドキストではなく、「じゃあ、指導者のあなたは一体何万語読んだのか?」と語数で力を証明せよ、と敵意?を持って迫ってくる相手に対して、「量から質へと深まっていくものなのですよ」と説明をする時に、有効な言葉を先生はたくさん持ってらっしゃるのかしら。と言うことなんです。つい老婆心を(誰が老婆やー!)出してしまうんですね。

先日ぷらっと立ち寄った本屋さんで、手に取った本の中に、いろいろと参考になるのではないか、という内容が書いてありました。
「本の読み方—スロー・リーディングの実践」 平野啓一郎著 PHP新書
なのですが、いくつか書き出してみますね。
 
 
 この本の立場は、徹底してアンチ速読である(序p4より)。

 私たちは、日々、大量の情報を処理しなければならない現代において、本もまた、「できるだけ速く、たくさん読まなければいけない」という一種の強迫観念にとらわれている。「速読コンプレックス」と言い換えてもいいかもしれない。(p6より)
これって、語数を気にするタドキストにも当てはまりませんか。

 もちろん、単にゆっくり読めばいいというものではない。・・・読書にもやはりコツがある。決して難しいことではないが、そのコツさえ知っていれば、読書はもっと楽しく、もっと有意義で、それを知らずにがむしゃらに文字を追うよりも、はるかに多くのことを教えてくれ、人間的にも成長させてくれるだろう。(p7より)
 
 
趣味で英語の本を読んでいる人にせよ、ビジネスのために読む人にせよ、本を読む時は、内面の成長を期待しているのではないでしょうか。
特にビジネスマンは、人と違った視点、人間的な厚みを持つことによって、相手の信頼を得るだろうし、その結果が望んだ地位や報酬へとも結びつくんじゃないかなぁ、ビジネスマンこそ、少しづつでもじっくりと味読する読み方をした方がいいのではないかなぁ、と思っていたのですが、それをこの本の中で上手に説明してくれています。
この本はいろいろな意味で、一読されるのをお薦めします。

音読はあかんでー、とも書いてありますけど。(笑)そこは日本語と英語の違い。私も完全黙読を目指してはいるのですが、音とリズムを目で見て完全再現できるまで、もう少しかかるかな。
音、リズム、響きの威力を発揮するのは、形容詞の場合に、一番顕著に現われると思っています。音と文字のイメージが一致しないと、何故作者はそこにその文字を置いたのか、その文字がその場所にあることの必然性に、気がつかないと思うのですね。
それに音読しながら、じっくりと作品の世界を味わう、というのは本当に楽しいものなのですよ。
私が大好きなのは韻を踏んだ言葉なのですが、これも慣れると見ただけでわかるようになりますが、やっぱり声に出してこそ楽しいんですよねー。
 
 
 

■再び味読の話■
私も線を引きながら読んでいる、といいましたが、色分けして、本をじっくり読んで良かったな、と思った最初の作品は、“Memoirs of a Geisha”です。
私がこの作品の中で一番印象を受けたのは、「色」と「におい」の使い方なんですね。
この二つを使うことによって、主人公の置かれたその時々の立場、感情、時代背景などが、よく読み取れるようになっています。
この二つの使い方こそが、この作品の持つ特異性だと思うのですが、
なぜか作者は途中であまり効果的な使い方をしてないのですね、
その分作品も、中だるみの印象を受けました。
戦時中で「色」も「におい」も暗いものでしか表現できず、単調になったのでしょうが、やっぱり、惜しいな〜、と思いました。
その後また「色」と「におい」が効果的に使われるようになり、作品もクライマックスまで盛り上がりました。

このように、私が一番魅力を感じたのは、「色」と「におい」を効果的に使って、登場人物の機微までも表現したことなのですが、祇園の裏話だったり、興味のある話は他にもいろいろとあり、存分に作品を味読できました。
  
 
ですが、もしこの本を「あらすじ」だけ追って「速読」していたら、
「ある女の子が芸者になって、いろいろあった話。」で終わったのではないでしょうか。作者が書きたかったことにはほとんど気がつかなかったでしょうね。
「いずれはじっくりと読めるようになるための、飛ばし読み」ならいいのです。
この作品は残念ながら、後世まで残るような名作ではありません。
でも、いつもいつも「あらすじ読み」で、それで何万語読んだ!と語数を誇られても、はぁ、そうですか、ぐらいしか答えられないですよね。
やっぱり掲示板でみなさんが語っているような、英語にそのまま触れて、感動があってこその読書。こうでなくっちゃなー、と思うのです。

そうそう、ビジネスマンが英語の本を読むのに有益な点として、
理論的な思考が身につく、というのが一番に挙げられるのではないかと思うのですが、それよりも、日本語以外の言語を日本語の理論、理屈抜きに読んで揺さぶられること、のほうがよっぽど重要なんじゃないかと思います。
 
  
  
あぁ、いろいろと書き連ねているうちに、みにはまが起き出しそうです。
長い割りに中途半端に終わりますが、ごめんくださいませ〜。


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