[掲示板: 〈過去ログ〉音のこと何でも -- 最新メッセージID: 3373 // 時刻: 2024/11/17(12:21)]
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お名前: shin
投稿日: 2003/7/31(18:05)
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ご無沙汰してます。shinです。
シャドーイングの場合、なんとなく真似しているだけで単調!というイメ
ージがやる側に定着してしまうと、意欲が湧きにくいと思うので(私もこの
壁を超えるにはある程度時間がかかりました)、こういうこともあるよ、と
いうことで、だいぶ前の話もあるのですが、いちおう報告をと思った次第で
す。座談会の時に書いたことで、少しは確信をもてるようになったこともあ
って。
といっても、既に同趣旨のことは書かれていたと思うので、取り立てて新
しい内容ではないと思いますし、sakigoroさんに代表されるような高いレベ
ルの人々や、熱心な人々が書かれているので、ちょっと気がひけますが、S
SS方式多読から入ったごく普通の人間が、初めてシャドーイングというの
をやり、現時点でこんな感想をもっている、という一サンプルとして、標題
のようなことについて具体的に(なればいいのですが)報告してみます。き
っと似たような経験をしている人はたくさんいると思います。
ちょっと長くなりますが。
I.シャドーイングの効果
最初に、シャドーイングをしていて自分の感じた効果を書いてみます。
シャドーイングはカタカナ音をすすぎ洗いし、英語の音を獲得することが
目的で、適切な読速のテープをひたすら真似するということがその方法だと
説明されています。
で、効果について書く場合、英語の音をどの程度獲得できたかが焦点にな
るのかもしれませんが、私の場合、音を獲得できたかどうかについてはふれ
ません(笑)。ふれられません。あー、恥ずかしい。
私が、こいつはすごい、とはっきりわかる効果は、耳のほうにでました。
聞き取りのほうなんです。
これはシャドーイングを始めてから今に至り、かなりくっきりとでてきて
います。
シャドーイングは負荷のかかる方法ですから、ある程度いけるようになる
と、聞く方に、かなり効果がでるのは当然といえば当然なのでしょう。
これを書くために念のため、この二日間で確認してみました。
アメリカで'50代だかに放送されたラジオ・ドラマ(各25分程度)のCD
を友人から借りて、一日一枚ずつ聞いてみました(忙しいのでその程度しか
時間がとれない・・・)。
邦題は「死の影」というのと「氷壁の彼方に」というやつです。
聞く前にカバーや解説を見て予備知識を入れることは一切しませんでした
(見たのは邦題だけです)。聞いた回数はそれぞれ1回だけです。なお、以
前にこれらのCDを聞いたことはありません。
それから、シャドーイングをしていると疲れてしまうので、最近、時間の
とれない私としては、聞き取りは全くといっていいくらいしてません(聞き
取りする時間があるならシャドーイングのほうが効率がいいかなと最近は思
っています)。そんなこともあって久しぶりの聞き取りです。
前置きが長いわりに結論が短いので申し訳ありませんが、こんな状態でや
ってみた結果、起承転結を入れてあらすじを書くことができるくらいにはわ
かりました(本当に短い結論ですいません)。
因みに「氷壁の彼方に」というドラマについては、聞いていて、この話っ
てなんか知っているような・・・という気がして、オチまで全部聞きおわっ
てから解説を見たら、H・G・ウエルズの「盲人の国」を原作にしたドラマ
でした。そういえばその作品は、ウン十年前、中学生の時に創元文庫で読ん
だという記憶がかすかによみがえりました。
これらのドラマがどれほどの難しさかは私にはわかりませんが、一般向け
ミステリ・ドラマということなので、普通の人向けの標準的なものだと思い
ます。例としては適当だったかどうかわかりませんが、SSS方式に従って
多読・文法・シャドーイングをはじめる前だったら、耳を漏斗にしても、予
備知識なしで、はじめて聞いて、一回で筋をつかむのは無理だったのは確実
です(数回聞いても無理だったはず。予備知識を入れてもわからなかった
かもしれません)。
今は、このあたりのものは、初めて聞いても苦もなく楽しんで聞けるくら
いになっている(実はこの二日間試してみて初めて自分でもそのことがはっ
きりわかりました(苦笑))。
たまたま、近くにあったものをつかってみたのですが、ここしばらく、た
まにTVなんかで英語を耳にしても、さっぱりわからん、という感じがなく
なってきたなあという気がしていたんです。それで試してみたら、やっぱ
り、ということでした。
ただし、シャドーイングをしろといわれたら初聞?ではまだ無理ですね。
たぶん。
もちろん、これはシャドーイングだけの効果ではなくて、多読や文法の力
が(特に多読の蓄積)が大きく影響しているはずなので、正確には複合的な
効果があらわれているということだと思います。
しかし、シャドーイング抜きではこの状態にはならなかったのも確かで
す。
聞き取りができてくると楽しいでの、シャドーイングのしがいがありま
す。
他人の評価はどうあれ、本人はこれで結構、すごいことだとかんじていま
す。なにせ、ここにいたるまで勉強らしい勉強はまったくしてきていません
から。
II.The Giver
で、次にここまで何をシャドーイングしてたかということを書いてみま
す。
上のようなことに気づいたのも、最近のシャドーイングの経験があったの
で。
(1)最近の素材
SSS書評でも好意的な書評が多い"Number the Stars"を書いたLouis
Lowryという著者の作品で、ニューベリー賞を受賞した"The Giver"という作
品です。
本自体は買っていないので、総語数はどれくらいかわかりませんが、CD
4枚組で、各CDに70分程度録音されていたと思います。
いまamazonで見てみると本は200ページくらいですから、総語数はあてずっ
ぽうで45,000語前後くらいでしょうか。
語彙はそれほどには難しくはなく(YL4.5位?・PBの一歩手前位という感
じ)、朗読スピードは全体平均で160wpm前後かなあ(総語数がわからないの
で何ともいえませんが)。
(2)やってみて
いきなり緊迫した雰囲気ではじまるので、出だし部分の朗読スピードがか
なり早くなっており、最初は面食らってしまって、おいかけていくのがやっ
とで、15分でアップ、アップということが続きました。
その後、あと一章分、あと5分というような感じで、一回にシャドーイン
グする時間を20分、25分・・・と伸ばしていくとともに(ラク一色のS
SS方式の中では、このあたりには持久走的な要素がたぶんにありました。
ただ、気持ちが乗らないときはもちろんすぐにやめました)、並行して、レ
ベル1,2のシャドーイングをしていたら、ある時、CD一枚を通しでシャ
ドーイングできました。そこからは一回のシャドーイングでCD一枚ずつを
シャドーイングできるようになりました(あくまでもまがりなりにもついて
行けたという意味で書いています)。この間、1ヶ月くらいでした。
その後、全体を4回くらい通してシャドーイングするうちに、不思議なこ
とですが、「読めた」という感じになりました。
(3)シャドーイングで「読めた」という経験−いい加減シャドーイング
「読めた」というのは、あらすじくらいは書けるというようなレベルです
(ただ、こういう感じを一度つかむと、あとはシャドーイングをやればやる
ほど細かいところまで意識せずに意味が流れ込んできます)。
多読を始めた頃、<いい加減読み>でいいという酒井先生の言葉に助けら
れて、「十分読めていないかもしれないなあ」と思いつつ書評を書くことが
多かったのですが、あの感じに近いかもしれません。
もっとも、多読のほうでは、興味がある本ならたいていの本は読むことが
できるようになったためか(興味のある領域だと、専門課程レベルの簡単な
−ほんとうに簡単ですけど−専門書程度とか、古典までならいけます)、読
みのほうの蓄積が利いているようで、"The Giver"程度のレベルなら、活字
を見ずに、シャドーイングだけでも、ある程度詳しいあらすじを書いても、
まるっきりピントはずれにはならないと思います。
(そういうことでいうとやはり「多読がすべて」という感じでしょうか。多
読での蓄積は大きいです)。
もちろん、全部の朗読がわかっているというわけではありません。
それから、シャドーイングがバッチリできているというのとは全然別で
す。残念ながら。
ですので、<いい加減読み>のデンでいけば、これは<いい加減シャドー
イング>ということになるかもしれません。
III.The Giver以前
The Giverをやる前にレベル1−2位までの少数のCDで、シャドーイング
をしてました(前に座談会の時に書いた素材;FactfilesのCDが中心)。
この期間が結構長かったです。シャドーイングはたまにやってみてはやめ
てました。結果的にはほとんどしてませんでしたね。
コツというのか、なれというのか、定着のきっかけをつかむまでが難しく
て、時間がかかりました。
私の場合、誤解があって、ある本が読めたら、その本のテープは、ある程
度やればシャドーイングできるかと思ったのですが、かなり甘かった。
ダールのThe Witchesなんかは、読めても、シャドーイングはとても無理で
した(The Giverを通しでできるようになったあとにやってみると、The
Witchesのスピードはかなりゆっくりだと感じましたが、当時は手も足もでな
かったです)。こうした誤解がもとで挫折してしまうケースも多々あるので
はないかと思います。
シャドーイング用の素材は、やはり読めるレベルよりは、思い切って下げ
た方がいいように思いました。
まずは「できる」という地点を早く確保しておいたほうが長続きするので
はないでしょうか。並行して、ついて行くのがやっとというテープをやるに
せよ。
それから、シャドーイングの場合は、同じ作品をたくさんやれば効果があ
がるように感じます。
もっとも現実的には、CDなどの値段が高いこともあるため、たくさんは
買えないという事情もあるし、シャドーイングで一つの作品を短期間にしあ
げるというのは無理だと思うので、必然的に、同じ作品を繰り返すことが多
くなると思いますが。
少数の作品だけこなしても力がつくというのは経済的には助かります。
それから読みの蓄積があれば、ある程度やさしいものをやってから、レベ
ルを2段階くらいあげても、意外に容易に突破できるように感じます(あま
り推奨はしませんが)。
IV.シャドーイング書評?
Louis Lowryファンのかたには申し訳ないですが、私は特に彼女の作品のフ
ァンというわけではありません。話は面白いのですが、私にはちょっと淡泊
な感じがして。
ただThe Giverについていえば、朗読者は私にはあってました。これはいい
という感じです。
それとは正反対だったのが、こちらも書評で高い評価を得ていて、私も傑
作だと思うSharon CreechのWalk Two Moonsです。
こちらの読み手はどうもあわなかったです。読み方がネロネロ風というの
か(変な表現ですいません)、最初からギブ・アップ。
読む面白さ(作品内容)とシャドーイングの面白さ(朗読)は一致しない
ところもありますね。真似したい人か、そうでない人か、ファスト・フード
のように平均的な味わいで、どうでもいい人か。そんな感じに分かれるよう
に思いました。
シャドーイング愛好者が増加してきて、シャドーイング用書評という掲示
板がそのうちあらわれるといいなあと思います。
誰が朗読しているか、Unabridged 版か、abridged 版かとか、録音時間、
CDがあるか、テープだけか等々の基礎データはもちろん、声・発音はどん
な感じかというようなことについて感想があったり、YLも、「よ」みやす
さのYじゃなくて、シャドーイングの「や」りやすさのYというかたちにし
て評価をしたり。
シャドーイング書評のほうは、全体でも百件程度載っていれば、実用的な
ガイドとして十分に通用するように思います。
V.その他
ここまでのところでいえば、やはり「多読が全て」で、多読の蓄積がシャ
ドーイングを支えてくれます。つぎに、まりあさんお奨めの教材で、簡単に
文法をやったのですが、これもシャドーイングを側面支援してくれています
(私としては、文法については酒井先生に「どうして〜」、「めざせ〜」の
文法部分を集大成した一書をはやくだしてほしいところです)。
シャドーイングを本格的に始めたのは今年に入ってからでしょうか。その
後も忙しくて、やったりやらなかったりという感じですが、明らかに一年前
とは変わりました。そのあたりについて長々と報告させてもらいました。
これからもこんな感じで気長にやっていこうと思っています。
それから、こうこう経験を通じて、酒井先生があげていた、字幕を読みな
がらDVDを見るという方法の意味がなんとなくわかるような気がしまし
た。
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