お久しぶりです♪

[掲示板: 100万語超 報告・交流 -- 最新メッセージID: 13567 // 時刻: 2024/12/25(16:02)]

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13559. お久しぶりです♪

お名前: 柊
投稿日: 2023/2/22(17:17)

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お久しぶりです。何年ぶりに来ただろうな?の柊です。書評はせっせと登録していましたが、ここ数年はあまり投稿した記憶がない。Kindleとaudibleの件でカッとなった時ぐらいですね。あの時は失礼しました。その後は諦めがついて、落ち着いています。気がついたら、掲示板の数自体減っていて驚きました。

近況としては6600万語を越えたところです。年間300万語ぐらいで落ち着くかなと思っていたのですが、去年はその半分ぐらいで終わりました。と言って他の言語もほとんど進んでいなくて、フランス語も去年1年で17万語、スペイン語は一昨年に1万語ちょっと読んだだけ、ドイツ語を先月、5年ぶりぐらいに再開したところです。

じゃあ、何を読んでいたのか、というと、何も読んでいない気がします。日本語は推理小説、それも本格推理が好きだったのですが、新刊が出てもほぼ読まなくなって……10年とかは経つのかな? はまっている小説(「とある魔術の禁書目録」とか、3ヵ月に1冊は出るようなやつ)も思い出したように数年に一度、既刊をまとめ読みとかいうパターンが多いですね。

お気に入りのDavid HandlerもQiu Xiaolongもすぐに絶版になりそうなので、新刊が出ると急いで買って、5年ぐらい寝かせてしまっています。

Jean Plaidyはすでに亡くなっているので、復刊したら買う気でいますが、復刊ブームも終わったようです。大体はKindleであれば手に入るようになってますね。紙の本の方はまた絶版になってきて、しかも以前買ったのが20年ぐらい経つものが増えて、紙が茶色になって読みにくくなってしまいました。

じゃあ、何をやっていたのか、というと、何をやっていたんでしょう? ええと、朗読はよく聞いてますね。Libri Vox(著作権切ればかりを集めた無料の朗読サイト)のDavid Clarkeという読み手の人がお気に入りで、まだ飽きていません。毎日のようにモンテ・クリスト伯を聞いています。フランス語の方もかなりわかるようになってきて、Litterature audio.com(ほぼフランス語の、こちらも著作権切れを集めた朗読サイト)の方のモンテ・クリスト伯の朗読もせっせと聞いています。主にSonyのWalkmanで聞いていますが、これは24時間使わないでいるといったん電源が落ちるのですが、落ちたところをほぼ見ませんから、本当に毎日聞いているということですね。音楽も入れていますが、最近は朗読ばかり聞いていて、朗読専用の端末になりつつあります。ドイツ語もこれに入れて聞いています。ドイツ語はとりあえずJostein Gaarderでやっています。「ソフィーの世界」の著者で、本では「オレンジ・ガール」「カード・ミステリー」「クリスマス・ミステリー」あたりも読んでいますが、カード・ミステリーは朗読はないんですね。あとは朗読ではFrog and Toadのドイツ語訳もお気に入りです。が、これが歌うように進むうえに、驚くほど速い! 速さで驚いているうちに、あっという間に一周終わってしまいそうなすごい速さです。4冊全部をまとめた本を持っていますが、CDでは1枚になっています。

1日が終わるのが異様に早いのは、眠っている時間も長いせいでしょう。持病の薬の関係で、睡眠時間が1日の半分をしめます。「人生の三分の一にもなる睡眠の質を上げよう」というフレーズを見て「私の場合は人生の半分にはなるな」と思っています。たまに14時間とか眠ると、むなしさ倍増。私の人生、睡眠時間の方が多いのか、と思います。とはいえ、2時間しか眠れなかった日は本当にふらふらになるので、一日の半分眠っても動けるなら、そっちの方が得だと思っています。祖母の認知症が進み、一晩中起きて動いている日と、夕方まで起こしても起きない日があって、一家全員連動して生活が決まっています。まあ、まだ自力で動いて自力で食べているので、ありがたいんですけどね。ありがたいんですけど、祖母に振り回されて2時間しか眠れなかった日は、結構疲れました。面白いのが、祖母は昼間は両手をつないで誘導しないと歩けないんですけど、夜中にトイレに行く時は一人でシャキシャキ歩いてるんですよ。しかも、一時間に何回も何回も行くんですね。元気なんですね。誰かこの仕組み、解明してくれないものでしょうか。

さて、最近読んで面白かった本ですが、Johann Hariの「Lost Connection」「Stolen Focus」(英語が原書ですが、著者はスコットランドとスイスの両親を持つイギリス人で、名前はヨハン・ハリと読むらしい)がノンフィクション部門でトップに来ますね。最初の方はうつ病の原因を探った本で、2冊目は人の注意(attention)を引く類のネットとかアプリとかの仕組みについて書いた本です。どちらも現代の必読書と思います。特に2冊目は「デジタル・デトックス」では足りない理由について詳しく書いていて、マルクス風に言えば「スピード・アップは資本主義の宿痾」という感じでしょうか。イギリスの産業革命以来、世界はずーっと速度を上げ続けているのではないかというのが結論、なのかな。まあ、結論はこの本の場合それほど重要ではないので、ネタばれではないと思います。どちらかというと探り出した事実や、探り出す過程が面白い。一級の推理小説を読んでいるような、推理と調査の過程が一番の特長ですね(最近ATOKを期限切れでやめたら、漢字変換がおかしいです。変なところがあったら、笑って流してください。すみません)。

あとはまだ読み終わってないですが、Leonie FriedaのCatherine de Medicisが意外な話の連続ですね。伝記なんですが、フランスのアンリ2世妃のカトリーヌ・ド・メディシスというメディチ家出身の人と、アンリ2世の愛人のフランス貴族ディアヌ・ド・ポワティエが、性格とかいろんなことが、今まで書かれていた伝記と逆転してます。今までの伝記ではカトリーヌが(商家の人だから? 母親はフランス王族で、父親はメディチ家の跡取りで、偉いんですけどね)金銭欲と権力欲が強いんですね。それで夫が愛人にあげたもののリストを全部細かくつけてて、夫が死ぬなりディアヌにリストを突きつけて全部返せっていうんですけど、この伝記では金銭欲と物欲の強いディアヌがせっせと愛人にねだったもののリストをつけていて、自分からリストと一緒に全部カトリーヌに送ってるんです。よく考えると、夫は愛人と一緒にどっかのシャトーにお籠りするのが好きなので、カトリーヌがリストをつけても不完全ですから、ディアヌがつけていた方があり得るわけですけど、事実関係から性格分析から全部逆転してしまったなーと。あと、ディアヌはアンリが第2王子の時は相手にしないで、兄が死んで王太子になった途端に捕まえようと愛人になっていて、愛は皆無で権力欲しかないというところも、イメージが反転したところです。ギーズ家も野心家で強欲になっていて、有能な政治家という今までのイメージとずれた。

今後は、特に男性だと高評価になるポイントが女性だと強欲とかがめついとか言われてきたのがあるので、歴史の事実は何も変わらなくても、評価や解釈が反対になってしまうということがどんどん起きるでしょうね。カトリーヌも王族だったり男性だったら、今までももっと褒められてたはずなので(権力欲の強い人じゃなくて、やる気と才能のある、有能で責任感の強い人になっていたと思います)、まだ変わるかもしれませんね。あと、毒殺していたはずの相手が病死だったというのがねえ……。なんで他の歴史家って今の医者に意見聞かないかな! 当時の医者の意見、どうでもいいんだよなあ。なんで未だに医学がそのままであるかのように、今の医者に意見聞かないんだろ。

それからやはり伝記でMartin HumeのPhilip II of Spain(スペイン王フェリペ2世)が面白かったです。何が面白いと言って、最近の伝記作家は「読者に評価は任せる」ふりで責任転嫁して(上記のLeonie Friedaの他Joanna Dennyなど一部を除く)、資料だけどっさりつけて解釈は書きたがらないんです。Humeは序文で先に解釈を書いてしまって「これから順々に説明する」という風な感じで本文が始まるんです。資料を選ぶ段階で伝記を書いた人間が何らかの解釈を持って選っているはずなので、その解釈を書かないのはおかしいと思うんですよね。ちゃんと先に書いてくれて読むのが楽だし、責任もって書いてるな、と思いました。なので、同じ著者でエリザベス1世の大臣のバーリー卿ウィリアム・セシルのと、ヘンリー8世の王妃たちのも読んでみようと思いました。

小説部門で言うと、まず、今部屋の中をパッと見て目に入ったのがMeg Cabotの新シリーズですね。ミアの妹のオリヴィアのFrom the notebook of a middle school princess。フランス語訳とドイツ語訳も出ているので、そちらもそろえました。これが、メグの描いた挿絵がたくさん入っていて、それがまた上手いんですよ。

それからP. G. Wodehouseが面白くなってきました。Wooster青年がドジを踏んで、従者のJeevesに何とかしてもらうシリーズ。ただこれ、のび太とドラえもんかと思ったら、ドラえもんが意外にいじめっ子の時があって、「え……あ、助けてはくれたのか」という展開になる時が。今のところ一番のお気に入りはExtricating Young Gussieかな。笑って読んでからよくよく考えると、コメディ要素があるのが救いという、ちょっとつらい話のような気がしました。

あとは大分前に読みましたが、Leigh JenkinsのSix Lives of Henry VIIIというKindle本ですね。それぞれの王妃が世継ぎの王子を産んでいたらどうなっていたかという架空歴史もの。Catherine the Inquisitorではキャサリン・オブ・アラゴンがイングランドに異端審問を導入する様子を描いて、Anne the Saintでは英国国教会の初の聖人にアン・ブーリンが選ばれるという仕立てで、Jane the Confidentについては何を言ってもネタばれになりそうですが、多分、著者がプロテスタントなんだろうという、ここまでの3冊ではプロテスタントの王妃がいい目を見ている感じです。ヘンリー8世の王妃はカトリックとプロテスタントが綺麗に順番に来ますから、これは推薦するその時々の大臣の宗教観なのでしょうが、悪人がそろってカトリックなのはJenkinsの趣味でしょうね。Anne the Saintに出てくる大臣がすごく面白くて、CranmerとCromwellと近くにいるので、正直、どっちがどっちか読んでいて混乱しますが、プロテスタントの大司教が常に書類を山ほど抱えてきて、必ず落とすんですよね。小説の中ではヘンリーは最初、こいつはなんて不器用なんだ、宮廷人とは思えないと悪い印象を持つんですが、その内に、仕事熱心で情熱がありすぎて、説明したいことが多すぎて、その上、早く説明したくてしょうがないというのがわかって、好印象になるという。この大臣とヘンリーの見方の変わるところが妙にリアルで印象に残りました。キャサリン・オブ・アラゴンについてHumeの伝記で読みながら、ヘンリーの王妃の中で一番実家が大物で、この人が謙虚な女性だったわけがないと妙に納得しました。Jenkinsでもそうなんですが、ヘンリー8世は親の代で国王になっているけれど、キャサリンの実家は何百年も(父方も母方も)王家で、キャサリンはヘンリーを成り上がり者とさげすむ方がありそうなんですよね。なんだって小説も伝記も、古くても新しくてもキャサリンが一番謙虚で奥床しい女性にしちゃうのかな。一番偉そうな方がありそうな気がします。他の王妃は自国の家臣か、外国でもそこまで偉くない貴族だから。

それからMeToo運動の影響でこちらの意識が変わったのもあり、今まで面白かった小説が耐えられないというのが何件か。モンテ・クリスト伯ぐらい古いと何もかも違うので許容できるのですが、まさかの、銀英伝が耐えられない日が来るとは。きっかけは何なのかな。10歳の弟より判断力がないことにされちゃった15歳のアンネローゼが気の毒になったのか(しかもこの人、その後も判断力のない人になってるし。助けも求めてないし、弟は意見も聞かず、気の毒な姉の救出をしてる)、それとも、「名前のついた登場人物3千人越え」の帯を見たのが悪かったのか。3千人のうち、女性は体感では10人いないんですよね。見落とした分も入れて30人としても、1%でしょう。当時の男女比率の「公平」ってこの程度かと思ったら、あほらしくなりました。40年前ではありますけど、その頃Jean Plaidyはウーマン・リブの影響を受けてか、画期的なエリザベス一世を書いてますからね。著者の性別は違いますけど、それで片づけていいのかな、と思ったらなんだか嫌になりました。


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