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お名前: wkempff
投稿日: 2018/10/7(20:55)
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5月に1300万語を通過してから、この数か月いろいろあってなかなか読めない時期もありましたが、下記の8冊、変な本も、それなりの作品も読むことができました。
2013年10月 多読開始
2018年5月1日 1302.5万語 100冊
2018年10月5日 1410.5万語 108冊
1300万語以降は、下記の8冊です。
Camino Island, by John Grisham 10.8万語
The 17th Suspect, by James Patterson 9.8万語
The Woman in the Window, by A.J. Finn 15.2万語
The Midnight Line, by Lee Child 16.5万語
Bluebird, Bluebird, by Attica Locke 11万語
Origin, by Dan Brown 18.1万語
The President is Missing, by Bill Clinton and James Patterson 15.4万語
The Girl Before, by JP Delaney 11.2万語
印象に残る作品を簡単にご紹介します。
Camino Island, by John Grisham
何年か前のGrishamの作品。リーガルものではなく、出版業界や書店の裏側を描く作品になっています。Fitzgeraldの手書き原稿の盗難、闇売買を追う話ですが、主人公は大学の講師をやっている元作家の女性、華々しくデビューしたが人気が先細り、大学の講師を首になったときにあやしい探偵会社にFitzgerald原稿捜索を依頼されます。
そういえば、Gillian FlynnやPaula Hawkinsは大丈夫かな? Kate Mortonは筆力を保っているけれど、などと考えてしまいました。Grishamファンには少し物足りないけれど、テーマが興味深くまずまずですかね。
Bluebird, Bluebird, by Attica Locke
2018年のエドガー賞最優秀長編賞受賞作。
黒人のTexas Rangerが、故郷で起こった黒人男性と白人女性の殺人を追う物語。Texasに根強く残る人種差別感情、黒人と白人のコミュニティの相いれない価値観が根底にある、暗い小説。Texas RangerはTexas州の州警察に相当し、西部劇などで正義の味方として描かれますが、実は、伝統墨守、白人至上主義の組織で、Rangerに黒人が加わること自体が異例のことでした。組織との軋轢、黒人コミュニティにも白人コミュニティにも受け入れられない焦燥、のようなものが下敷きですが、困窮する母親と主人公の関係など再度ストーリも暗く、割り切れなさの残る小説です。
最近のEdgar賞はちょっと傾向を変えているような気もしますが。。。。
Origin, by Dan Brown
Dan Brownの大ヒットシリーズ、Langdon教授ものの第五弾に相当します。Langdon教授の初期の弟子であるKirschはITで大成功し、スペインの博物館で、人類史を変える大発見の講演を行うと予告します。それは、「人類はどこから来てどこに行くのか」という根源的な問いに答えを与えるもので、宗教界に激震を走らせるものでした。しかし、Kirschは講演の本論にはいる前に凶弾に倒れます。美術館長はスペイン皇太子の婚約者ですが、この暗殺後、護衛を拒み、Langdon教授と逃走します。美人と手をたずさえ、追手から逃げながら謎解きを行う、おなじみの展開。Kirschの開発したAIが逃走の手引きをします。
なんだかんだ言っても読ませる力は大したものだと感じました。
宗教と科学の関係やAIの未来など、考えさせるテーマが取り上げられます。
The President is Missing, by Bill Clinton and James Patterson
Pattersonは、多くの助手を使ってベストセラーのミステリーを量産している流行作家ですが、なんと今回はアメリカ第42代大統領のClintonとの共著です。
タイトルは大統領行方不明ですが、小説はほとんど大統領視点の一人称で書かれます。アメリカは大規模サイバーテロに狙われていますが、テロリストと直接取引しようとした疑惑で、大統領は弾劾の危機にあります。
大統領は、自らホワイトハウスを脱出、怪しいテロリストの手先と単独で会いますが、何者かに襲われ、自らハンドルを取ってカーチェイスを演じ、弾丸の下をくぐって脱出します。そして、友人の家に隠れて自ら指揮を執り、サイバーテロ阻止に動きます。
背景に、ロシアとの緊張関係、ホワイトハウス内部の陰謀などがありますが、一般の知識以上にホワイトハウス内部が描かれるわけではありません。
最後近く、大統領自身の長いスピーチがありますが、環境問題、銃規制、女性の権利拡大など、反トランプであるClintonの主張そのもので、ちょっと笑ってしまいました。
Clintonがどの程度原稿を書いたのか、どの程度アドバイスしたのか不明ですが、彼の政治思想は色濃く反映されており、Clintonの理想とする大統領像なのかも知れません。
なお、主人公の奥さんは癌でなくなっており、副大統領は女性、という設定です。ヒラリーやゴア副大統領に迷惑がかからない設定にしたのかな。
Pattersonのミステリーにしては長く、語彙レベルの高い部分もあります。
The Girl Before, by JP Delaney
謎の新人作家のサイコスリラー。NY Timesなどの書評が良かったので読んでみました。
ロンドンの高級住宅街にある戸建の賃貸受託。著名な新進気鋭の有名建築家の作品にもかかわらず格安でした。その家は極めてシンプル、ソフトウェアにすべてコントロールされ、電灯スイッチすら無い、という徹底ぶりでした。また、入居希望者は、膨大な契約に縛られ、建築家の面接に合格する必要がありました。
この家に住むことになった二人の女性、EmmaとJaneは、パラレルワールドのように建築家と関係を持ち、過剰に支配的な建築家、自分の悲しい過去、家そのものに徐々に追い詰められていきます。そして、EmmaもJaneも、先住者が不思議な死に方をしていることに気づきます。
信頼できない語り手(Gone Girl、The Girl on the Trainなど)、過剰に位牌的な富豪との性的関係(Fifty Shades of Grey)、建物そのものが恐怖の対象(Rebecca)など、新旧の傑作ミステリーのエッセンスを集めたような小説。多少、結末が拍子抜けのような感じもありますが、面白いことは面白かったです。
5周年を記念して、稿を改め、ここのところのEdgar賞受賞作品を一気にご紹介しようかと考えています。
こちらはしばしお待ちを。
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