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1059. パラノーマルロマンスのすすめ〜パラノーマルからファンタジー&SFへ
お名前: Raquel
投稿日: 2007/12/13(00:35)
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みなさま、こんにちは。Raquelです。
今年は「パラノーマルロマンスからファンタジー&SFへ」というテーマで
いろいろ読んだ本をご紹介します。
タイトルの意味ですが、ロマンスが嫌いじゃないファンタジー&SFファンの方への
パラノーマルロマンスのオススメです。もちろん、ロマンスファンにもオススメです。
パラノーマルロマンスというのは、ロマンスにファンタジーやSF要素が入った
作品のことです。ここ数年、とても勢いのあるジャンルなので、玉石混淆ですが、
人気作家はとっても面白いです。
どうしてパラノーマルロマンスをオススメするかというと
・ 作品の中心はあくまでもロマンス。ファンタジーやSF要素は、あくまでその次に
くるものなので、本格的なファンタジーやSFよりも、設定が複雑じゃなく読みやすい。
・ 設定が難しくないといっても、読んでいるうちに、ファンタジーやSF要素に慣れ、読みやすくなる。
・ 読者はあくまでも「ロマンス」を求めているので、設定がハードじゃない。
ということです。
実際に私も、パラノーマルロマンスをたくさん読んだあと、ファンタジーとSFを読んでみたら、
つっかえつつも、読むことができました。
ファンタジーやSFは、特殊な言葉や造語が多いので、日本語でたくさん読んでいる方は別ですが、
ある程度PBを読みこなせる方でないと難しいと思います。
でも、パラノーマルロマンスから入っていけば、割と容易に読めるようになるのではないかと思います。
===============================================================================
まず最初に、いくつか用語について説明しておきます。
・ スピンオフ(spin-off) ある作品から派生した関連作品。ある作品の脇役が主役になって登場するものが多いです。
・ シングルタイトル スピンオフがない、単独の作品
===============================================================================
レベルについて
YL6〜7とは、PBを読み慣れた方は「6」、読み慣れない方は「7」と思ってください。
===============================================================================
まずは、ファンタジー系パラノーマルロマンスからご紹介します。
<ヒストリカル系>
・ Shana Abeの Drakonシリーズ Shapeshifter系
このシリーズは、drakon と呼ばれる一族が主人公となっています。
drakon は、もともと地上を支配していた竜の末裔で、人から煙、そして竜へと変身(Turn)することができます。
彼らの力と富を妬んだ人間たちによって、drakonたちは住む地を追われ、イギリス郊外の静かな村 Darkfrith に落ち着きました。二度と追われないよう、drakon族の長、アルファの元、人間ではないという秘密を厳しく守って暮らしています。
(1) The Smoke Thief YL7〜8 約86000語
舞台は18世紀、ジョージアン・イングランド。
貴族の宝石ばかりを狙いロンドンを騒がせている盗賊は、厳しい警備をすり抜け煙のように消えてしまうことから、Smoke Thief と呼ばれていた。
盗賊の噂を聞いたdrakon の長、Langford 侯爵 Christfer (Kit)は、Smoke Thief が Darkfrith から逃げ出した一族の者ではないかと考え、彼を捕らえるためロンドンに向かう。。
drakon の秘密を守るため、逃亡を企てた者は「幽閉」か「処刑」という厳罰に処さなければならない。
Smoke Thief をおびき出すため、drakon の至宝、美しいパープル・ダイヤモンドの Herte を一般展示するのだが、現れたのは美しい女性で。。。
彼女の美しさ、能力の強さに惹かれたヒーローが、あの手この手で彼女を自分の
ものにします。
あまりの強引さに引いてしまうというレビューも多々ありますが、わたしは、
愛情ゆえにだと解釈したので、全然気になりませんでした。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
(2) The Dream Thief YL7〜8 約75000語
前作の続編にあたります。前作の重要な登場人物がヒーローとなります。
伝説では遠い昔、Draumr(=Draming Diamond)という美しいダイアモンドがあったという。
Draumr は drakon を意のままに操る力があり、drakon の美しいプリンセスに恋をした人間が Draumr を盗みだし、
プリンセスは男の妻となった。その後に起こった悲劇と共にダイアモンドは失われ、見つかることはなかった。
drakon の長 Langford 侯爵の娘 Amelia は、幼い頃から他の家族と違っていた。
彼女は特別美しくもなく、優雅な兄弟たちのように竜に変身することができない。
だが、彼女には他の誰にもない能力があった。
Lia は夢の中で、未来を聞くことができるのだ。14歳の頃から Lia は夢に悩まされてきた。
夢の中の Lia は drakonの秘密を知る盗賊 Zane の従順な恋人で、二人はとても親密な時を過ごしていた。
だが、人間の Zane と Lia の関係が認められるわけがなく、怖ろしい出来事が次々起こるのだ。。。
ドラコンのプリンセスと人間の物語が、主人公ふたりの境遇と重なり、
かなりダークな雰囲気です。
面白かったですよ。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
歴史とファンタジーが巧妙にミックスされ、フリルやパニエの華やかさや、
当時の町並みが目に浮かぶようですし、drakonの伝説も非常に上手くできています。
ヒストリカルロマンスファンにもお勧めのシリーズです。
3作目がもうすぐ発表されます。
<異世界もの>
ファンタジーに多いタイプですが、架空の世界が舞台になっているものです。
* Maria V. Snyderの Studyシリーズ
デビューしたばかりの作家ですが、すごくパワフルで深みのある筆致で魅了されました。
マーセデス・ラッキーやロイス・マクマスター・ビジョルドのファンタジーを初めて
読んだときのような嬉しい驚きを感じました。
舞台となるのは、中世風ヨーロッパ風の国 Ixia。
Ixia は Commander Ambrosia を頂点にいただく軍事国家です。
日本語のイメージとはちょっと違いますが、とりあえず、Commander に司令官という訳語を当てておきます。
十数年前に王政を倒して以来、司令官は絶大な権力を握り、Code of Behavior という法律によって人々を厳しく治めてきました。
Code of Behavior は、いかなる例外も情状酌量も認めず、犯した罪を逃れられることはありません。
ヒロインは、20歳くらいの若い女性 Yelenaです。
(1) Poison Study YL7〜8 約98000語
権力者のひとり息子を殺した罪で投獄されていた Yelena は、処刑前に司令官の
最高セキュリティー責任者の部屋に連れてこられ、思いがけない提案をされる。
処刑か、司令官の毒味係になるかを選べというのだ。
毒味係になれば、いつ死が訪れるか分からない。
でもYelena は、生き残る可能性にかけて毒味役になることを選ぶ。
毒を食べさせられたり、復讐に燃える男に命を狙われたり、かなりハラハラさせられます。
ロマンスよりもファンタジー色の方がかなり強く、後半になるまで誰がヒーローなのか
はっきり分かりませんが、ちょうどいい案配でよかったです。
かなり痛い場面もありますので、そういうのが苦手な方は、ささーっと飛ばして読んでください。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
続編のあらすじは前作のネタバレになりますので、気になる方は飛ばしてください。
(2) Magic Study YL7〜8 約124000語
舞台は、Ixia の南の隣国 Sitiaになります。
自分が孤児だと聞かされて育った Yelena は、実は Sitia の家族の元から掠われてきたのだということを知る。
さらに、自分が強い魔力を持っており、自分の能力を知りコントロールする方法を学ばなければならないということを告げられる。
Ixia では魔法使いは処刑か追放という厳罰が決められており、Ixiaに留まることはできない。
掠われてきた他の子供たちとともに、Sitia から来た外交使節の Irys に率いられ、
家族の元に向かった Yelena は、魔法学校で魔力を制御するすべを学ぶことになる。
このヒロイン、何かと危険に巻き込まれてしまうんですが、この作品でも
いろいろハラハラさせられます。
前作で結ばれたヒーローとは離ればなれになってしまうので、ロマンスが薄めですが、
彼が登場してからはその分埋め合わせされてます(笑)
前作では、ヒロインの魔力が明らかになっていませんでしたが、今作では魔法満載で、
魔力を使って危険を切り抜けます。
オススメ度 ☆☆☆☆
この作品で終わりではなく、3部作最後の"Fire Study"が来年発売されます。
* Elizabeth Voughanの The Cronicles of the Warlands シリーズ
この作家は新人ですが、1作目が大評判になりました。
SFの老舗(?)Torのロマンス部門から出ています。
舞台は中世ヨーロッパ風の王国 Xy、ヒロインは、前国王の娘 Xylara(Lara)。
(1) The Warprize
Lara は父王の反対や王女としての慣習を押して、治療師になりました。
現国王(Lara の異母兄)の治世になってから、王国は Firelander という異民族の
侵略を受けるようになりました。
彼らは国境から侵略を続け、王都まで迫り、Lara は兵隊たちの治療に追われるになります。
治療師としての Lara は、捕虜となった敵の戦士が治療も受けずに死んでいくのを黙ってみていることができません。
兄王や周りの反対の中、彼女は捕虜たちの治療を始め、彼らの言葉や習慣を学ぶようになります。
そんな中、Firelander の将軍 Warlord は、国王 Xymund に降伏を迫ります。
評議会の話し合いに呼び出された Lara は、和睦の条件として「王女 Xylara」を Warlord の奴隷として
差し出す様に迫られたと、王に告げられます。
王女として、いつかは政略結婚をしなければならないという運命を受け入れていましたが、
さすがにショックを受けます。
でも、戦禍に苦しむ国民のため、Lara は条件を呑むことにしますが。。。
最初は文化や言葉の違いから誤解があったりしますが、奴隷にされたと思いきや、
自分を優しく慈しんでくれる Warlord との間に徐々に愛情が育っていきます。
異民族との戦争、降伏、奴隷とシリアスな中でもユーモラスな語り口、リアルで
魅力的な脇役陣と、話題になるだけのことはあるなと思いました。
オススメ度 ☆☆☆☆
残念ながら、3部作の続き2作は凡庸な感じ(特にロマンス面が)で、
ヒロインの1作目での凛々しさはいったいどこに?!という感じでしたので、
こちらには紹介しませんが、興味がある方は読んでみてください。
(2作目"Warsworn"、3作目"Warlord")
続いて、ロマンスもあるファンタジーをご紹介します。
* Robin McKinley
「青い剣」でニューベリー賞を受賞したロビン・マッキンリー
・ Beauty YL7〜8 約69000語
ある海辺の街に、裕福な商人が三人の娘と暮らしていました。
娘の名前は、Grace、Hope、Honour。
末娘の Honour は幼い頃、「こんなつまらない名前より "Beauty"と言う名前の方がよかった」
と言ったことから、Beauty と呼ばれるようになります。ところが皮肉なことに、
上のふたりは美人なのに、Beauty は年頃になっても美しくなりません。
それでも、父親は分け隔てなく娘を愛していました。
やがて、上の娘は父親の認める男性と恋におち、幸福な未来が待っていると思えたのですが、
父親の事業が突然上手くいかなくなり、一家は北の町に引っ越すことに。
新しい家のそばには、魔法をかけられていると噂されている森がありました。
ある時、父親は森で迷い、不思議な城に迷い込みます。
そこで一輪の美しい薔薇の花を手折ったばかりに。。。
ご存じ「Beauty and Beast(美女と野獣)」のリトールドです。Beauty の視点から
語られます。
読み始めてまず、文章の美しさにウットリ。文体もストレートでビッグワードもなく、
ヒストリカルをたくさん読んでいるおかげでしょうけど、ものすごく読みやすかったです。
今まで Beauty のイメージといえば、きれいで優しいだけというイメージでしたが、
知的で意志が強く、とっても意志が強いヒロインです。
意外にユーモアたっぷりで、本好きのBeautyのためにBeastが用意する図書館のセレクションには
本好きなら大受けするはず。
* Sharon Shinn
あちらのロマンスファンにとても人気があるファンタジー作家です。
翻訳も1冊(「魔法使いとリリス」)出てますが、今回ご紹介する作品の方が、
100倍も面白いです。
まずは、YAファンタジーから
・ Summers at Castle Auburn YL6〜7 約122000語
(翻訳「オーバーン城の夏」上下巻 小学館ルルル文庫)
舞台となるのは、中世ヨーロッパ風の王国 Auburn。
主人公は、王家に近い高貴な領主の非婚外子 Corie です。
Corie は呪(まじな)い師の祖母と二人、田舎の村で暮らしていた。
そんな八年前のある日、叔父と名乗る男 Jaxon が突然訪ねて来て、
彼女はさる貴族の非嫡子である、と告げる。それ以降、Corie は毎年夏になるとオーバーン城で過ごすことになった。
優しい義姉、素敵な王子様に囲まれ、妖精も居るお城での暮らしは彼女にはとても新鮮できらめいていたが……。
14歳の夏を境に、幸せな夏は終わってしまいます。
この作品は、少女の成長ストーリーです。
目をキラキラさせて世界を見ていた少女が、人の心の裏側や物事の不公平さに気づき、幻滅を感じながらもまっすぐに生きようとする。
とても清々しいです。
シャロン・シンの作品には必ずロマンスの要素がありますが、YAということもあって、
仄かにしか分からないのがまたよかったです(笑)
オススメ度 ☆☆☆☆☆
次は、本格的ファンタジーです。
・ Twelve House シリーズ
舞台は、中世ヨーロッパ風の架空の王国 Gillengaria。
Gillengaria は12の地方に分かれていて、諸侯 Marlord(またはMarlady)が治めています。「Twelve House」というのは、12人の Marlord たちの家系を指す言葉です。
江戸時代の「御三家」とかいう感じでしょうか?
(1) Mystic and Rider YL8〜9 約155000語
タイトルの Mystic というのは、辞書で調べると「神秘主義者」とか何だかよく分からない訳語が
書いてありますが、この作品では魔力(超能力?)を持った人々のこと。
Rider というのは、King's Rider、直訳すると「王の騎士」ですね。
王に忠誠を誓った王直属のエリート兵士です。
Gillengaria の南部で何やら不穏な動きが起こっているらしい。
噂の真偽を確かめるよう王に命じられたMystic の Senneth と、彼女の護衛を命じられた
王の騎手の Tayse と Justin、 Mystic の Kirra と Donnal の5人は、南に向かう。
途中で目にしたものは、内乱を予期させる暗い出来事ばかりだった。。。
最初は Mystic に対して不信感を持っていた騎手たちと Mystic たちは、
ともに危険をくぐり抜けるうちに、互いの強さや誠実さを認めあい、心を通わせていきます。
反 Mystic の動きと反乱の予感を絡めて、ストーリーは展開します。
もちろんロマンスはありますが、ヒロインの Senneth は34歳で、魔力のせいで
十代から一匹狼であちこちさまよってきた女性なので、ヒロインと言うよりむしろ
ヒーローという方がふさわしいかもしれません。
でも、強くてりりしい女性が時にふっと脆いところを見せると、ヒーローならずとも
守ってあげたくなってしまいますね。
反乱の動きは続編にも続きます。
Senneth のストーリーはとりあえず終わりますが、続編以降でも活躍するようです。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
ラッキー、ビジョルドが好きな方には、超おすすめです。
現在のところ、続編が4作目まで出ています。2作目も読んでからご紹介しようかと
思ったのですが、17万語もありますので今回はやめておきます。
* Mercedes Lackey
説明する必要のないほど有名なファンタジー作家です。
今回は、ヴァルデマール王国ものじゃない作品をご紹介します。
・ Elemental Masters シリーズ
おとぎ話をベースにした、魔法使いのシリーズです。
Elemental Master とは、火、水、大地、空気の四大元素(の一つ)を操る魔法使いのこと。
この作品の主人公は、火を操る魔法使い Firemaster です。
(1) The Fire Rose YL7〜8 約118000語
20世紀初頭 サン・フランシスコ
鉄道王で Firemaster の Jason Cameron は、魔法の実験が失敗したせいで、
人前に出られない姿になってしまった。
失敗の原因を見つけ、もとの姿に戻ろうと固く心に誓っていたが、事故のせいで
魔法に関する文献を読むのも思いのままにならない。
そこで、自分の代わりに文献を読んでくれるアシスタントを雇うことにした。
条件は、古ラテン語や古典ギリシャ語、中世フランス語および中世ドイツ語、
中世ラテン語に熟達していること。ヒエログリフやケルト語の知識があればなおよし。
秘密を守るため、アシスタントは住みこみでなければならない。さらに、
外界と接触の必要のない人物が望ましいので、家族との縁が薄い人物がいい。
そこで白羽の矢が立ったのは。。。
この作品のベースになっているのは、"Beauty and Beast"です。
本好きで眼鏡っ子、ヒストリカルでは完全なる spinster ヒロインと、
アクシデントで「野獣」になってしまったヒーローのストーリーは、
マッキンリー版に似てますね。
とっても practical で、ロジカルで賢いヒロインに驚かされっぱなしのヒーローが
面白かったです。
ラストにツイストがありますが、こういう結末は珍しいと思います。
歴史的事実も絡めて描かれていて、とても面白かったです。
オススメ度 ☆☆☆☆
<アーバン&未来系>
まずはYAから。
* Meg Cabotの Mediator シリーズ YL5〜6 約50000語
メグ・キャボットのメディエーターシリーズは、4作目から6作目が翻訳され、
追って1作目から最近残りが翻訳され始めました。
シマウマ読みにも向いていますね。
ゴーストを見るだけではなく、話したりさわったりすることができる、それが
メディエーター。
ゴーストの心残りを解消し、あの世に行きたくないゴーストを説得する
(時には力業で)のが、メディエーターの仕事。
幼い頃から自分の力に閉口してきたメディエーターの Suz は、
母親が結婚し、カリフォルニアに引っ越してきました。
Suz の新しい部屋には、超ゴージャスな100歳の青年(?)ゴーストが住んでいて。。。
ヒロインのメディエーターとしての活躍、ゴーストと恋に落ちていく様子が
6巻を通じて描かれます。結ばれないはずのふたりの恋の行方から目が離せません。
(1) The Shadowland (2) The Ninth Key (3) The Reunion (4) Darkest Hour
(5) Haunted (6) Twilight
Meg Cabot のホームページで、未訳の短編が読めます。
平均オススメ度 ☆☆☆☆
* Stephenie Meyerの Twilightシリーズ ヴァンパイア系
前にもご紹介したことがありますが、こちらもYAです。翻訳本も超人気です。
超美形ヴァンパイアのEdward と恋に落ちた、普通の女の子 Bellaの
物語です。
(1) Twilight YL7〜8 約115000語
現代のアメリカの田舎町が舞台。
父親と暮らすために LA から引っ越してきた Bella Swan は、非現実的なほど美形な
少年 Edward と出会う。
Bella は一目で彼に惹かれるが、Edward は彼女に対して非常に不可解な行動をとる。
そばにいるのも耐えられないというような態度を見せたかと思うと、別の日には親しげに
話しかけてくる。
実は、彼には秘密があって。。。
キス止まりでも、ひっじょうに官能的な緊張感に溢れていました。
普通なら結ばれない恋人たちの恋のゆくえから目が離せません。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
3部作全部発表され、Edward と Bella の恋の行方にはひとまず決着がつきましたが、
はっきり言って2作目以降にはがっかりでした。
ここには紹介しませんが、興味がある方は読んでみてください。
((2) New Moon (3) Eclipse)
* J.R. Wardの Black Dagger Brotherhoodシリーズ(以下BDB)
今、パラノーマルで一番人気があるヴァンパイアものです。
私もしっかりはまりました。
キャラ造成が上手く、特にヒーローたちが魅力的で、読み始めるとやめられません。
ただ、スラング満載で、"Yo Bro!"なんてヒップホップ調な会話なので、
ちょっと読みづらいかもしれません。
Sex & Violence、アドレナリンとスピード、筋骨隆々の大男たち(肩幅が普通の男の2倍って、どんなやねん。壁?)、
普段の私なら思いっきり避けてしまうジャンルですが、面白いですー。
冒頭に「用語集」があることからも分かりますが、シリーズの世界がしっかり築き上げられています。
ヴァンパイアとブラザーの設定は珍しくないんですが、他の細かい設定がとてもユニークなんですよ。
笑わそうとしてるのか大まじめなのか、ちょっと悩みますが、多分笑かそうとしてるんでしょう。
それに、ブラザーたちの名前が確信犯ものなのですよ。
Wrath(憤怒)をはじめ、いちばん穏やかそうなのがTohrment(torment:拷問、苦痛)、それから Rhage(rage:激怒)、 Vishous(vicious:どう猛な)、Phury(fury:またまた激怒)、
極めつけがZhsadist(sadist:サディスト・笑)。
Zhsadist がハードコアパンクかネオナチか、という風貌なのがまたお約束(笑)
やたらに「h」を入れるのもお約束なんですよ。牙が邪魔でちゃんと発音できないんやろか?
舞台となるのは現代のニューヨークの街 Caldwell 。
この街にはヴァンパイアの集団と、ヴァンパイアを根絶やしにしようとするアンデッド(undead)の集団 Lessening-Society が存在し、戦いを繰り広げていました。
ヴァンパイア市民を lessor から守る戦士たちが、Blood Dagger Brothersです。
興味を持たれた方は、ぜひ1作目から読んでください。
(1) Dark Lover YL7〜8 約117000語
BDBのリーダーで、純血ヴァンパイア最後の1人となった Wrath と、ヴァンパイア戦士と
人間の母の間に生まれ、自分がヴァンパイアだとは知らないヒロインのストーリーです。
BDB の戦士 Darius は、人間との間に生まれた娘 Elizabeth(Beth)を長い間陰から見守ってきましたが、彼女がもうすぐヴァンパイアへの変異(transition)を迎えることに気付きます。
ヴァンパイアにとって transition は苦痛と危険を伴い、transition の際に
死んでしまう者も少なくありません。半分しかヴァンパイアの血が通っていない Beth には耐えられないかもしれません。
Darius は、Beth のtransition を助けてやって欲しい、と Wrath に頼みます。
(transition には、異性の血を飲まなければならず、血が純粋であればあるほど強い力になるのです)
両親を lesser に殺されて以来、Wrath は戦いに明け暮れ、誰とも感情的に深く関わらない様にしてきました。
Darius の頼みも断るつもりでしたが、彼は突然非業の死を遂げてしまいます。
仲間への敬意から、Darius の願いを全うしようと、何も知らない Beth のもとに向かった Wrath ですが、一目で彼女に激しく惹かれてしまいます。。。
クレイパスなんて目じゃないくらい、激しいですよー。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
(2) Lover Eternal YL7〜8 約125000語
この作品の主人公は、ハリウッドスター以上の超絶美形戦士 Rhage。
ヴァンパイアを創造した(?)女神、 Scribe Virgin を怒らせてしまったために、
女神様に呪いをかけられてしまいました。
若気の至りで Scribe Virgine を怒らせてしまった Rhage は、200年の間「獣」を身体の中に
棲まわせなければならないという呪いをかけられてしまいました。
感情が高ぶると、ゴジラのような「獣」が表にでて大暴れし制御不能になってしまいます。
lesserとの戦いや意味のないセックスで気を紛らわせ、自分をコントロールするように
務めていますが、いつの日か「獣」になった自分がブラザーたちや周りの人々を傷つけるのではと恐れ、
ひとときも気の休まることはありません。
そんなとき、あることから、Mary Luceという名の人間の女性と出会い、一目で惹かれてしまいますが。。。
不治の病で余命短い平凡なヒロインは、超絶美形が自分にメロメロなことが全く理解できません。
呪いや病という障害を、どうやって乗り越えていくのかが見物なはずなのですが、
私は、「そんなのありー?」という感じでした。
私の満足度は低かったですが、Amazonなどでの評価は悪くないので、シリーズを
読もうという方は是非読んでください。
オススメ度 ☆☆☆
(3) Lover Awakened YL7〜8 約134000語
今回の主人公となるのは、BDBの戦士の一人、Zhadist。
怖ろしく悲惨な過去のせいで人格が歪んでしまい、他のブラザーたちからも危険視される程、
狂犬的なところがあります。
スキンヘッドにピアスだらけ、顔は額から唇にかけてS字の刃物傷があり、
戦士と思えないほど痩せた身体で、凶悪なハードコアパンク風の見かけです。
人がたくさんいる真昼の大通りでも、会いたくないタイプ(爆)
噂では、楽しみのために殺すとか、女性の恐怖にしか欲情しないとか言われていますが。。。
一度会っただけのヴァンパイア貴族の Bella を、なぜか忘れることができない Zhadist。
彼女が lesser に誘拐されてから数週間がたち、家族ですら、死んでしまったものと
諦めてしまっても、Zhadist は取り付かれたように Bella を探し、lesserを倒し続けていました。
ある出来事から、彼女が生きていることを知ったブラザーたちは、Bella の救出に向かいます。
虐待のトラウマで人格が歪んでしまったヒーローが、誘拐によって心に傷を負ったヒロインを
必死に守ろうとする様子に、胸が痛くなってしまいます。
この本は暴力シーンがかなりグラフィックなので、痛いのが苦手な方は、ささーっと
読んでください。
個人的には、この本の痛々しさがものすごくツボで、シリーズで一番好きですね。
オススメ度 ☆☆☆☆
(4) Lover Revealed YL7〜8 約150000語
今回の主役となるのは、1作目で登場した殺人課の元刑事 Butch O'Neilです。
1巻のヒロイン Beth に好意を持っていて、彼女を Wrath から守ろうとするうちに、
ヴァンパイアや Brotherhood について記憶操作できないほど知りすぎてしまいます。
本来なら殺されてしまうところですが、あることから、処刑されるどころか
ヴァンパイア戦士たちと生活を共にし、ヴァンパイアと lesser との戦いを深く知ることになります。
でも、彼は人間で、ヴァンパイアと違って簡単に死んでしまうため、肝心の戦闘には参加させてもらえないことに
フラストレーションを覚えていました。
ところが、一人で夜の街にいるときに、ヴァンパイア市民が lesser に襲われているところに出くわします。
Butch はブラザーたちの警告を無視し、lesser たちと戦いますが、捉えられ激しい拷問を受け、
瀕死の状態で放置されているところをブラザーたちに保護されます。
lesser によって、拷問よりもっと恐ろしいことをされていることが分かり。。。
この巻では、いろいろやりたい放題になってきたなという感じです。
前々から、SM的な香りや、M/M(端的に言えばやおい)的な感じがありましたが、
ヒロインとのロマンスよりも、ヒーローとブラザーの友達以上恋人未満(えっ?)な
関係が切なかったです。それって、ロマンスとしてどうよ、というつっこみはなしで
お願いします(笑)
オススメ度 ☆☆☆
続きも出ていますが、私はここまでしか読んでいません。
5巻の "Lover Unbound"は、作者が掟破りをしたと、喧々囂々になってます。
語数は、約164000語で、巻が進むにつれて語数がとんでもないことになっています。
あと少なくとも、2冊か3冊出るようです。
* Nalini Singhの Psy-Changeling シリーズ Shapeshifter&Futuristic
こちらは、シェイプシフター系で今一番人気の作家です。
シェイプシフターというのは、動物に姿を変えることができる人間です。
狼男とかですね。英語では、Werewolfです。
以下、were+動物名で、その動物に姿を変えられる人間を表します。
舞台となるのは2079年(?)の地球。
人類は、超能力を持った Psy、動物に変化できるチェンジリング(changeling)、
そして普通の人間の3つにカテゴライズされます。
チェンジリングとは、シェイプシフターです。
さくしゃはこの世界を非常に緻密に考えていて、1冊1冊もちろん独立して読めますが、
いろいろな謎が少しずつしか明かされず、次の巻に続きます。
とてもダークでミステリアスです。
Psy はテレパス(Tp)、テレキネシス(Tk)、予知(F)などの力を持ち、
政治や経済の中枢を占めていました。
ここで、Psy に関する重要な歴史と設定を説明しておきます。
1969年、Psy 社会での連続殺人や発狂などの増加を食い止めるため、Psy Counsil は
サイレンス(Silence)と呼ばれる厳しいプログラムを採用することになります。
サイレンスは初め、Psy が幼いうちに、「怒り」を感じないように条件付けるプログラムでしたが、
怒りだけを取り除くのは難しいということが分かります。
1979年、サイレンスは怒り、喜び、ねたみ、ジェラシー、愛といった、全ての感情を取り除くために
使われることになりました。
その後、Psy 社会は安定しますが、中にはやはり例外も生まれます。
サイレンスをうけた普通の Psy は、ロボットのように抑制され何も感じませんが、例外が発見された場合、
リハビリテーション(rehabilitation)という措置がとられます。
リハビリテーションを受けた人物は、自分の精神を完全に拭き取られ、抜け殻のようになってしまいます。
(1) Slave to Sensation YL7〜8 約93000語
ヒロインは、Psy評議会のメンバーの一人、Nikita Duncan の娘 Sascha。
ヒーローはパンサー・チェンジリングで、レオパード・チェンジリング「DarkRiver」の群れの
アルファ(リーダー)Lucas Hunterです。
チェンジリングの若い女性を狙った連続猟奇殺人を追っていた Lucas は、
犯人が Psy で、Psy Counsil が犯人を隠蔽しているのではないかと考える。
折しも、カウンシルメンバーの Duncan 一族の会社とのビジネス提携が持ち上がり、
Sascha Duncan と知り合った Lucas は、彼女に近づき秘密を探ろうとする。
Saschaは感情のないはずの Psy なのに、何故か彼女こそ自分の伴侶「mate」だという
思いに囚われ。。。
感情や感覚の吐露イコール、リハビリーテーションということを恐れて暮らしてきた
ヒロインが、感情表現豊かなチェンジリングたちとの出会いによって変わっていきます。伴侶に対して、圧倒的な愛情と独占欲を持つ強くて美しいヒーローがとても魅力的です。
この作品も、非常にホットです。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
(2) Visions of Heat YL7〜8 約98000語
この作品のヒロイン Faith NightStar は、F-Psy(予知能力者)ナンバーワンの能力を持つ女性。
ヒーローの Vaughn D'Angelo はジャガー・チェンジリングですが、幼い頃に両親に捨てられてから、
「DarkRiver」の群れの一員となります。アルファのLucas の斥候(Sentinel)の一人で、彼とは血の兄弟という絆で結ばれています。
Faith NightStar は、ある日突然、暴力に満ちた悪夢に苦しめられるようになる。
予知能力者の避けられない運命、狂気にむしばまれ始めたのではないかと思いはじめていたが、
実は、夢はある人物の死を表していたのだった。
その後も、血塗られた殺人のヴィジョンに悩まされた Faith は、自分が殺人者の視点と同化して
ヴィジョンを見ていることに気付く。
カウンシルや他のPsy にこのことを知られれば、リハビリ施設行きは免れない。
冷静に考えた末、自ら Psy-Net を離れた Sacha Duncan に相談しようと決心し、
DarkRiverテリトリーに向かうのだが。。。
サイレンスがどうやって感情を殺すのか。感情が復活したらどうなるのかということが
明かされます。
ヒーローに出会って感情が目覚め始めたヒロインが、ちょっとふれられただけで
感覚過剰でオーバーロード状態になってシャットダウン(要は気絶)してしまうのに
驚いてしまいました。
1作目ほどのどきどきはありませんが、なかなか面白いです。
オススメ度 ☆☆☆☆
(3) Caressed by Ice YL7〜8 約106000語
この作品のヒロインは、1作目にちらっと登場したウルフ・チェンジリングの女性。
ヒーローは Psy です。
1作目のネタバレになりますので、ここにはあらすじを書きませんが、
2作目まで読んだ方はぜひ続けて読んでください。
個人的には、シリーズで一番のお気に入りです。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
今のところは3作までですが、続きも7作まで?予定されています。
一番続編が楽しみなシリーズです。
次は、SF系パラノーマルをご紹介します。
<スペース系>
* Susan Grant
この作家は、地球人と宇宙人が主人公になるロマンスをたくさん書いています。
宇宙人といってもご心配なく。見かけは人間そっくりですから。
・ Vash-Nadar 3部作 Futuristic系
舞台となるのは、Vash Nadah という王家が星々を治める未来の宇宙です。
(1) The Star King YL7〜8 約100000語
アメリカ軍の戦闘機パイロット Jasmine(Jas)は、サウジでの訓練中に追撃されて砂漠の真ん中で墜落してしまう。
救助されるまでの間、同じように負傷した異邦人と出会う夢を見る。
見たこともない軍服に身を包んだ男は、とても印象的な金色の瞳をしていた。
それから20年後。
合衆国政府に、異星からのコンタクトがあったという驚くべきニュースが発表される。
宇宙人との会見をニュースで見ていた Jas は、忘れられずにいた夢の男そっくりの
人物を発見し。。。
ヒロインが40歳のシングルマザー、ヒーローが不名誉を負って追放された王子という、
異色のロマンスです。
宇宙の旅あり、戦争ありで、アクションたっぷりですが、ロマンスもとても楽しめます。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
(2) The Star Prince YL7〜8 約81000語
前作のヒロインの息子、Ian が主人公となります。
Vash Nadah の時期王位継承者 Ian Hamilton は、継父でVash Nadahの王 Rom Bkah の命で、
辺境でトラブルが起こっているという噂の真偽を確かめるため、身分を隠して辺境の星を訪れていた。
折しも、地球と Vash Nadah との連盟関係に異を唱えているアメリカ上院議員の Randall が近くの惑星に滞在していることを知った Ian は、内緒で Randall の目的を探ろうと決心する。
Vash 王家の女性として過保護に守られて暮らしてきたプリンセス Tee'ah は、宇宙船の操縦を習い宇宙を飛ぶ自由を楽しんでいたが、
両親に知られて飛ぶことを禁じられてしまう。
王家同士の政略結婚もまとまり、追いつめられた Tee'ahは、自由を求めて宇宙に飛び出した。
パイロットを探していた Ian は、偶然出会った Tee'ah を雇うことになり。。。
前作はかなりシリアスでしたが、こちらはとってもコミカルで面白いです。
SFとしての設定はしっかりしていますし、逃げ出したプリンセスと身分を隠して
隠密行動を取っているプリンスが出会ったらこうなるだろうという、ロマンスの定石も
しっかり踏んでいます。
オススメ度 ☆☆☆☆
続編として、Ian の姉のストーリー "The Star Princess"もありますが、こちらは未読のため
ご紹介できません。
・"Contact"(シングルタイトル) YL7〜8 約110000語
主人公は、32歳のシングルマザー(地球人)です。
サン・フランシスコからホノルルへ向かっていた、ユナイテッド航空58便の進路に、
突然不思議な雷雲が発生した。
副操縦士の Jordan は、雲を回避しようとして進路を変えるが、雲も進路を変えているかのように目前に留まっている。
何度トライしても適わず、飛行機は黒い雲に向かっていくが、ぶつかると思った瞬間、
飛行機は何か巨大な物に飲み込まれてしまう。
911の記憶も生々しく、テロリストに拉致されたと思った Jordan は、断固として戦おう
と決心する。ところが、「彼ら」はテロリストではなく、宇宙人の連盟 Alliance で、
Jordan の飛行機は彼らに救助されたのだと言う。
地球は彗星群によって破壊され、58便の乗客が地球人の生き残りだと聞かされる。
飛んでいる飛行機が突然、もっと大きな飛行船に飲み込まれたらどうなるか、という
思いつきから生まれた作品だそうです(笑)
生き残った地球人のリーダーとなってしまったヒロインと、義父である船長の命で
地球人難民に対応することになったヒーローのロマンスです。
戦争あり、陰謀ありで、とてもサスペンスたっぷりに展開します。
この作品はロマンスのアカデミー賞ともいえるRita賞を受賞しているのも納得の1冊です。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
次は、より本格的なSFに行きます。
わたしは日本語でもSFはあまり読んでいないので、ちょっと読みづらかったです。
スタートレックも見たことないし、ヤマトやガンダムだって見たことないし。
とりあえず読めることは読めるんですが、こうやって日本語で紹介するのに、
相応する訳語が思いつかないので、間違っていたらすいません。
* Linnea Sinclair
この方もロマンスたっぷりのSFを書く作家です。
別の作品ですが、Rita賞を取ったこともあります。
・ Games of Command YL8〜9 約150000語
舞台は宇宙。
あまり詳しく説明されていないのでよく分からないんですが、Triad と United Coalition(以下 U-Cee)
という2大軍事組織がありまして、10年近く戦争をしていました。
でも、共通の敵に対抗するために、Alliance(同盟?)を結ぶことになります。
U-Cee の Tasha (Sass) Sebastian 大佐(Captain)は、Alliance Personnel Integration Program(同盟人員統合計画?)
の一環として、Tirad の戦闘船 Vaxxar での勤務を命じられる。
Vaxxar の艦長 Branden Kel-Paten 提督(Admiral)と Sass は、長い間敵同士として何度も遭遇してきた。
Triad の艦隊の中でも最上の Vax で勤務できるのは嬉しいけれど、Kel-Paten が自分を指名したと聞いて、
これを機会に何か仕返しをしてくるのではないかと不安になるのだが、実のところは、全くの反対なのだった。
若い頃に事故にあったせいで、サイボーグ兵士、biocybe に改造されてしまったヒーロー。
敵軍の女性に一目惚れするが、彼女は自分のことを「機械」としか思っていないのを
知っているので、積極的にアプローチすることができません。
やがて、同盟を揺るがす陰謀に巻き込まれるうちに、ふたりは急速に親しくなります。
陰謀に対してプロットやSF的理論、ミリタリーな用語などは、もやもやとしか
理解できなかったんですが、アクションたっぷりでとても面白かったです。
ロマンスは、ロマンスをたくさん読んでいる人ほど面白がって読めるんじゃないかと
思います。(アンオーソドックスなので)
オススメ度 ☆☆☆☆☆
最後は、女性SF作家の草分けの未訳本です。
* Anne McCaffrey
・ Restoree YL7〜8 約80000語
主人公はニューヨークに住む24歳の女性、Sara。
ある7月の夕暮れ、セントラルパークを歩いていたSaraは、魚の腐ったようなひどい臭いを最後の記憶に、
何だか分からない恐怖で失神してしまう。
ひどい痛みと恐怖、なにも理解できない混沌が続いた後、自分が精神病院のような施設で
誰かの世話をしていることに気づく。
だんだん意識がはっきりするにつれ、自分の身に何かおかしなことが起こったと思い始める。。。
なんだか分からないうちに意識を失い、気がついたときには、自分が見たこともない
姿に(美しく)変身していて、知らない星に連れてこられたと気づいたヒロイン。
自分が世話をしている人物が、その星の最重要人物で、彼は精神を病んでいるのではなく、
薬漬けにされ監禁されていることに気づく。
彼を正気に戻すことができれば、自分も脱出することができるかもしれない。
1967年に発表された作品だということで、この頃に女性主人公が積極的に行動に出る
作品は珍しかったのだと思います。
正直言って、特別すばらしい作品だとも思いませんでしたが、彼女特有の
人間の魅力で話を引っ張って行くところは顕著です。
主人公ふたり、特にヒロインの Sara はとても生き生きと描かれています。
多分翻訳されることはないと思いますので、読めてよかったと思います。
実はこの本、3年ほど前にPBをたくさん読み始めた頃に挑戦したものの、
2ページほど読んでちんぷんかんぷんで投げた本だったんです。
正直、今でもSF的な単語は分からないものもたくさんあります。
でも多分、あと10冊くらい読めば、もっと楽に読めると思いました。
マキャフリーの未訳本はたくさんあるので、また読んでいくつもりです。
こうやって、同じようなジャンルばかりを集中的に4ヶ月ほど読んでいると、
やはり徐々に読みやすくなっていることに気がつきます。
読んでいくうちに、ジャンルの常識というか、基本的な背景知識がついて行くんでしょうね。
また次に投稿するのはいつになるか分かりませんが、次はヒストリカル・ミステリーを
ご紹介できたらなと思います。といって、まだ買うだけで1冊も読んでないんですけどね。
巻物のように長い投稿を読んでくださってありがとうございました。
みなさま、好きなジャンルで楽しい読書を♪
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