多読技能の「般化」?

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886. 多読技能の「般化」?

お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/13(22:54)

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どうも慈幻です。

〉まったくの予定外で、突然フランス語を一気に読んでしまいました。
〉いきなり44000語超えてしまったんです!
(中略)
〉そして「プチ・ニコラ」を冒頭2〜3行がわかった勢いで読み始めま
〉した。…でもそこから先はさっぱりわかりませんでした。なのに!?
〉何が書いてあるかわからないのに最初の1話を読んでしまったのです。
〉そして更に次のお話に進みました。やっぱりわかりません。1ページ
〉あたりの認識語彙は数語程度、イラストが多いので理解の助けにはな
〉りますが、ごくおおまかなことしかわかりません。それでも読みまし
〉た。わからないのに?!??なぜか読んでしまうんです?!?!?

突然、私が西語が読めるようになったのと似たような現象で、とても
興味深い報告です。

〉とりあえずなぜかを考えてみました。
〉まず、プチ・ニコラは内容もイラストもフランスのエスプリとか独
〉特のユーモアを感じさせ、わからなくてもその雰囲気だけで気に入っ
〉てしまった、ということがあるかもしれません。やっぱり私はフラ
〉ンスが好き。

まず、"affective filter"が発生してないということが挙げられるで
しょう。

〉そして、フランス語はつづりを見れば発音がわかるので、脳内音読
〉がスムーズに進む。

次に、黙読するのに不自由ない程度には、文字と音が対応していると
いうことが挙げられます。

〉そしてこれは一話ごと、最初の2〜3行がけっこうわかりやすいん
〉です。もともと雑誌に発表されたものらしく、登場人物もそのつど
〉説明してくれます。絵の助けも借りて、ぼんやりと、なんとなく、
〉どういうシチュエーションかつかめます。

僅かであれ、「物語」を把握できていることが挙げられます。

〉…ぐらいでしょうか。もしフランスの雰囲気だけでその気になった
〉としたら、これもまた多読にしばしば画期的な効果を発揮する「愛」
〉というヤツでしょうか?

「愛」は重要でしょう。特に、導入期には、必須かもしれません(笑)

〉さらに、英語多読も役に立っています。
〉多読を始める前、私は英文を読むと前置詞や関係代名詞が出てくると
〉行き詰まりました。ひっくりかえさないとわからない、でもひっくり
〉返し続けると文のつながりがわからなくなって混乱してしまう。しか
〉し多読をしたら文章が語順のまま理解できるようになり、関係代名詞
〉にも前置詞にも引っかからなくなりました。
〉フランス語も前置詞も関係代名詞もあります。しかし英語多読のおか
〉げで語順のままずんずん読み進めることができました。わらかなくて
〉も進むことができたのは、そういった引っ掛かりがなかったからだと
〉も言えます。

英語多読の仏語多読へのフィードバック、学習理論で言う所の「般化」
が起こっていると考えるべきかと思われます。

〉慈幻さんが言うところの「言語獲得装置」というもがあるかもしれま
〉せん。
〉仮説としては、まずおおまかな点がポツリ、ポツリとあって、大量イ
〉ンプットを続けるとその点が増えてきて、そのうち点と点を結ぶシナ
〉プスが発生して点と点とを結び始め、それが広がって理解度が上がっ
〉ていくのではないかという気がします。

上記のイメージは面白いですね。最初は部分的だった対応が、自己組織
化されることにより、相転移が起こり、飛躍的に理解度が向上するとい
うのは、理論的にも興味深いモデルではないかと。

〉従来型の学習の考え方では、言葉はわかるか、わからないか、の
〉どちらかしかありません。「わかる」状態にならないと、全て
〉「わからない」に分類されます。そしてその「わかる」境地に達
〉するのはとっても大変なことです。
〉しかし多読をしてみると、なんとなく、ぼんやり、わかるような、
〉わからないような、という状態もアリだということがわかってき
〉ます。よく報告でもわかってくると霧が晴れたような、とか、ピ
〉ントが合ってきた、という表現を見ます。ではその霧がかかった、
〉ピントの合わない状態でも、その状態のままウロウロしていれば
〉いつかは晴れていくということです。その、霧の中をウロウロし
〉ている状態というのは意外と大切なのかもしれません。ウロウロ
〉しているうちに言語感覚が身についていくのかもしれません。

この、「分かる」でも「分からない」でもない中間状態が「鍵」か
もしれません。この状態で挫折せずに、「楽しく続けられる」方法
論が必要なのではないかと。

以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。


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