初心者のための世界史クラブ〜Part7〜

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491. 初心者のための世界史クラブ〜Part7〜

お名前: 杏樹
投稿日: 2006/1/9(01:35)

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みなさま、こんにちは。
世界史クラブを通し番号にしました。児童書以外のものを取り上げるときに「児童書編」ではまずいし、児童書以外だけで報告することはあまりなさそうですし、この際統合と言うことで。
ここで過去ログを整理してみます。

世界史クラブ活動報告〜GR編〜
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世界史クラブ活動報告〜児童書編Part1〜
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世界史クラブ活動報告〜児童書編Part2〜
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初心者のための世界史クラブ〜児童書編Part3〜
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初心者のための世界史クラブ〜児童書編Part4〜
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初心者のための世界史クラブ〜児童書編Part5〜
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今まで6回報告していますので今回はPart7になります。

さて、今回はまずやさしい児童書のシリーズものから。

●Sparks Historical Adventures

以前紹介したFamous People Famous Livesと同じ出版社で本の体裁も似ています。
いろいろな時代を背景にしたフィクションです。巻末にはNotesがあって、お話に関連したその時代の事柄の解説があります。お話を読むことで単に歴史的事実を並べるよりもその時代のことが伝わってきますし、解説によって理解も深まります。レベルはFamous People Famous Livesと同じぐらいで、レベル2ぐらいだと思います。語数は4000〜5000語ぐらい。イラストも豊富でお話しもわかりやすいです。

・ANCIENT GREECE(古代ギリシア)
・INVADERS AND SETTLERS(中世の民族移動やバイキングなど)
・TUDORS AND STUARS(エリザベス1世とそれに続く時代)
・VICTRIAN ERA(ヴィクトリア女王時代すなわち19世紀中ごろ)
・20th-CENTURY HISTORY
といったカテゴリがあります。

まずINVADERS AND SETTLERSからは
「Viking Raiders」
EdmundとLeobaのきょうだいはある日突然両親が川に落ちて死んでしまいます。そこへバイキングの襲撃があり、二人はとらわれの身に。奴隷市場へ向かう船の上でバイキングと知り合いになりいろいろなことを聞きます。さて二人の運命は…。

TUDORS AND STUARSから
「Mystery at the Globe」
Judith Shakespeareはお父さんの劇場グローブ座が移転させられるのを知ります。おかあさんやおねえさんたちはお父さんの仕事には興味を示しませんが、Judithはお芝居が好き。劇団員たちはがんばって新しい移転先へ劇場を移しますが、そこには陰謀が…?

VICTRIAN ERAから
「Chimney Charlie」
チャーリーは煙突掃除の助手です。狭い煙突に入るには子どもでなくてはいけないのです。チャーリーをこき使うScroutの厳しい命令が飛んできます。チャーリーはScroutのもとからのがれることができるのでしょうか?

「Convict!」
Naryは馬が好きな女の子。ある日Mrs Dentonが倒れて、医者を呼びに行くため牧場の馬に乗って町へ急ぎます。しかしお医者さんのところにたどり着いたものの、Maryは馬泥棒の罪で捕まってしまいます。馬はとても高価なので(今の自動車と同じ?)罪も重いのです。
有無を言わさず裁判が進み有罪になってしまうのには読んでいてもとても悔しい思いをしましたが、最後はほっとしました。「情けは人のためならず」が隠れたテーマかも。当時の刑罰のことがわかります。

「Bodies For Sales」
ヤバそうなタイトルですね。Jackのおとうさんはエディンバラの病院の門番で、Jackは病院の雑用をしています。ある日Jackは血を吸わせるヒルを探しに行き、恐ろしいものを目撃してしまいます。
この当時解剖する死体を集めるのに墓荒らしが横行していたそうです。

この3冊は「The Not-so-Nice Victorians」というコンプリ本にもなっています。

このシリーズはアマゾンでは「SPARKS FRANKLIN WATTS」で検索するとシリーズがヒットします。品切れが多いのが残念ですが、注文が増えたら入手できるようになるかも…?

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さて、英語の本を読むとキリスト教が背景になっていることも多いのでキリスト教についての本を探してみました。まず読みやすい聖書物語から。

「Tomie dePola's Book of Bible Stories」(書評あり)
旧約聖書(Old Testament)から20、新約聖書(New testament)から16のお話が収録されています。有名なお話を集めているので基礎知識を得るのにいいと思います。レベルは3〜4ぐらい。旧約聖書の部分は最初の方が読みやすくて、後の方のエステルやダニエルのお話はちょっと難しかったです。お話によって読みやすさに差があるようですので、ピックアップしながら読んでもいいでしょう。新約聖書はほぼキリストの生涯をカバーしていますので、こちらから読んだほうが手っ取り早いかもしれません。
Tomie dePolaの絵はやさしいタッチでほのぼのしています。

ヨーロッパのキリスト教は聖書だけでは理解できません。聖書の時代以降ローマカトリックが認めた「聖人」がいるからです。そこで聖人のお話を探してみました。
まずは英語圏の聖人4人のシリーズもの。ハードカバーですが薄くて小さい本で、絵がもひとつ上等ではありませんが、聖人に関するお話を知るとっかかりになります。守護聖人のお祝いの様子も書かれています。レベルは2ぐらい。

「SAINT GEORGE」Patron Saint of England
イングランドの守護聖人、聖ジョージ、すなわち聖ゲオルギウス。龍退治で有名です。この本ではお話としてはいまいちおもしろくありませんが、イングランドで聖人としてどのように祝われているかを知ることができます。戦の聖人として十字軍時代にイングランドの守護聖人になったということです。聖ジョージの日は4月23日。下の方で「サン・ジョルディ」として話題にもなりました。

「SAINT ANDREW」Patron Saint of Scotland
このシリーズ4人の中で唯一聖書に由来する聖人です。聖アンデレは漁師でしたが、兄のシモン・ペテロと共にキリストの弟子になります。そしてキリストの昇天後その教えを広めるのに力を尽くしました。それがどうしてスコットランドの守護聖人かと言うと、後にある僧侶が夢でお告げを受けたからだとか。聖アンデレの日は11月30日です。

「SAINT DAVID」Patron Saint of Wales
ウェールズの守護聖人は聖デイヴィッド。ウェールズの王子で、かのアーサー王の血を引いているとか…。デイヴィッドは学問を修めるため家を出ますが、やがてキリストの教えを伝えることに生涯を捧げることを誓います。そして教会を建て貧しい人に施しをし人々を導きます。聖デイヴィッドの日は3月1日です。この日はウェールズのNational festivalです。

「SAINT PATRICK」Patron Saint of Ireland
パトリックはローマ時代のブリテンに生まれ、さらわれて奴隷としてアイルランドへ連れて行かれます。何年も羊飼いとして働かせられた後逃げ出し家に戻ります。しかしその後神の教えを学び、神の教えを伝えるためにアイルランドへ戻っていきます。聖パトリックの日は3月17日です。
余談ですが、この日はアメリカでもアイルランド移民が盛大にお祭りをします。その様子については「児童書編Part4」で紹介したRookie Read-About Holidaysに書かれています。

さて、先に挙げたTomie dePolaは他に聖人物語の絵本も書いています。
ヨーロッパで特に有名な聖人と言えばアッシジの聖フランチェスコがいます。

「FRANCIS THE POOR MAN OF ASSISI」
フランチェスコはイタリアのアッシジの裕福な織物商人の家に生まれました。ある日キリストの像に祈っているとお告げを聞きました。「壊れた教会を修復しなさい」と。そしてフランチェスコは親からもらったものを全て捨てて清貧の生活を始めます。やがてフランチェスコの下に賛同する人々が集まってきます。フランチェスコは鳥や花や大地にもbrother,sisterと呼びかけ神の恵みを説きました。そういえば聖フランチェスコを主人公にした「ブラザー・サン シスター・ムーン」という映画がありました。レベルは3ぐらい。

「Patrick Patron Saint of Ireland」
Tomie dePolaのお母さんはアイルランド系だということで聖パトリックの絵本を書きました。パトリックに関する本なら上のものよりはこっちのほうが絵本としても見ていて楽しいと思います。

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さて、ここからはランダムに…。

「BRENDAN THE NAVIGATOR」(3235語、YL2.5)
Jean Fritzの著書。アメリカ大陸を発見したのはコロンブス…いいえ、中世に北欧のバイキングがすでに到達しています。しかし、さらにもっと昔、実はアイルランドからアメリカ大陸へたどり着いた人物がいた…?
そのBrendanという人物の航海記が残っているのですが、怪物が出てきたりとても事実そのままとは思えませんが、アメリカ大陸へたどり着いたのかもしれないというお話。イラストが理解を助けてくれて読みやすいです。オススメ!!

「The QUEEN'S PROGRESS An Elizabethan Alphabet」(2591語、YL3.5)
ソフトカバーですが豪華な絵本です。女王様の衣装の柄はCGぽいですが、絵が細かくて緻密。
タイトルのとおりひとつずつアルファベットのトピックになっていて、エリザベス1世の時代のさまざまなシーンを描写します。AはAdventure、BはBear、というふうに、Zまで。エリザベス時代の宮廷の雰囲気をたっぷり味わってください。

「THE STORY OF IRELAND」(5085語、YL3.0)
豊富なイラスト、というかマンガのようなコマ割やふきだしのセリフのあるフルカラーの本。パンゲア大陸から分かれたところから現代までアイルランドの歴史をたどります。「アイルランドに蛇がいないのは聖パトリックのおかげ」伝説の真実も明かされます。アイルランドに興味のある人におすすめ。

「HOW WE CROSSED the WEST」(2965語、YL3.5)
独立間もないアメリカ、まだ17の州しかなかった頃。トーマス・ジェファーソン大統領はCaptain Meriwether Lewisに西部探検を命じます。フルカラーでキャンパス地に描いたような風合いのイラストで、その旅をたどります。まだアメリカの西部はインディアンの世界です。インディアンに助けられたり助けたりしながら旅は続きます。

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おすすめGR
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今回GRを2冊紹介します。

「Round the World in Eighty Days」PGR5
「80日間世界一周」です。バナナさんの「星6つプロジェクト」でも紹介しました。
Fogg氏は交通機関が発達したので計算では80日あれば世界一周できる、と言い、それを証明する賭けをすることになってしまいます。19世紀の「発達した交通」とはどんなものか、がわかります。ハラハラさせるしかけもたっぷりで、すご〜〜〜く面白い!!です。
このお話は映画化もされていて3拍子のテーマ曲は有名ですが、最近ではジャッキー・チェンも映画化しています。原作では世界一周に同行するフランス人の助手パスパルトゥをジャッキーが演じていて、全く違う展開に。インドから中国へそれてしまいます。でもスピーディな展開でアクションシーン満載で、こちらもすっごく面白かったです。

「Knight and Castles」 DK ELT Upper INTERMEDIATE
騎士もの関係では今までMagic Tree House Reserch Guideの「Nights and Catsles」や「You Would't to Be a Medieval Knight!」を紹介してきました。こちらは一般向けGRになります。一応ノンフィクションですが、物語仕立てになっていて、子どもが騎士の修行をしながら育ち、一人前になって結婚して…といふうにう「騎士の一生」を紹介するようになっています。特に騎士の修行の様子など「You Would't to Be…」シリーズと見比べるとなかなか楽しいです。騎士に関する知識や言葉はファンタジーを読むときにも役に立ちます。
私は昨年「Song of Lioness」のシリーズを読んでみましたが、これは1〜2巻が主人公が騎士の修行をするお話で、こういった本を照らし合わせてみて「なるほど」と思いました。


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