[掲示板: 〈過去ログ〉英語で趣味を楽しむ -- 最新メッセージID: 1605 // 時刻: 2024/12/27(17:36)]
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211. Re: 引き継ぎ業務完了・・・のあとに広げてどうする
お名前: 杏樹
投稿日: 2004/6/2(02:10)
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akoさん、こんにちは。
〉マザーグースについて、
〉〉〉〉「タドキストの広場」の「タドキストな日々」も開いてみてください。
〉拝見しました。テープ本以外は、全く未読です。全部メモしましたので、順次、読んでいこうと思います。やりだすと深そうで、日常生活に帰って来れなくなりそうです・・・恐い・・・
どれも分厚い本ではありませんから、読むのには手間はかからないと思います。
〉〉世界史的には「マザーグースの誕生」などおもしろいですよ〜。ヨーロッパの古い習俗などと関連付けていて。
〉まさに、カンドコロって感じ〜 読まなきゃ〜
ふっふっふ。ぜひどうぞ。
〉〉〉フン族のこっちに来たのが、中国を脅かした匈奴だそうですね。
〉〉逆ですよー。まず匈奴が北アジアに遊牧帝国を作って漢を圧迫しました。(中略)・・逃げていった一部の匈奴がおそらくヨーロッパで「フン族」という名前で恐れられたアジアの遊牧民と同一だろうといわれているのです。
〉おお・・・ 高校世界史授業以来の感動・・・
〉こんなに、あのへんのややこし状況をご存知の方とSSSで出会えるとは・・・
〉正確に書いていただいてありがとうございました。
専門に近いし、得意分野なもので…。中央アジアのことなら何でも聞いてー(…と、大きく出る)
〉〉〉ところで、ハンガリー語は、
〉〉姓名も住所も日本語と同じです。文法は、・・・・ヨーロッパ語とは明らかに違います。むしろ「助詞」をつかうのが感覚的にとっても近く感じます。「〜を」とか「〜に」とか「〜へ」とか「〜から」とか。
〉へぇ、へぇ、へぇ、へぇ! 100へぇ!!
〉〉でも日本語の助詞よりもっと意味が細かく分かれているので覚えるのが大変です。おまけに前にくっつく単語の発音によって変化します。母音調和もあります。古代日本語にはあったそうです。トルコ語には今でもあります。ついでに、所有格は名詞の後ろにくっつきますが、これはトルコ語と同じです。
〉えぇ〜〜?!? 母音調和って、韓国語にもあるって聞きましたよぉぉ(NHKTV語学番組レベルのニワカ知識)
〉母音調和って、フランス語のリエゾンとは違うんですか?(あ、また長くなるような話・・・)
〉やっぱり仲間なんだ・・・ 日韓トルコ、ハンガリーって。
〉サッカー強いし・・・(関係ないか)
リエゾンは音がくっつくことですが、母音調和は変化するんです。
母音がまず「後母音…a,o,u」と「前母音i,e,u(ウムラウトつき)、o(ウムラウトつき)」に分かれます。そして同じ語の中には同じカテゴリーの母音同士だけが存在するんです。
たとえば、ハンガリー語には単数・複数の区別があります。
そして複数形には「k」がつきますが、ここで母音調和が登場します。
母音で終わる単語には「k」
子音で終わる単語で後母音のものには「ok」
子音で終わる単語で前母音のものには「ek」
がつきます。
「辞書」は「szotar」(ソータール:本当はoにもaにも長母音記号がつく)で、母音がo,aの後母音なので
複数形は「szotarak」(ソーターラク)
「水」は「viz」(ヴィーズ:iには長母音記号がつきます)で、母音がiの前母音なので
複数形は「vizek」(ヴィゼク)
となります。
その他、先に述べたように助詞が単語にくっつきますので、その時も母音調和になります。
dobozban(ドボズバン)
=doboz(箱)+ban(の中)
teremben(テレムベン)
=terem(部屋)+ben(の中)
また、所有格も名詞の後ろにくっつきます。トーゼン母音調和します。
〉〉また、英語以外のヨーロッパ語と同じように、動詞が人称によって変化するので覚えるのが大変。主語がなくても動詞だけでわかるので、主語を省略します。
〉おぉー、不思議発見!
〉日本語や韓国語みたいな「てにをは」があるのに、動詞だけラテン系・・・?
〉つまり動詞でわかるから主語を言わないのって、イタリア語とかスペイン語ですよね。ハンガリーって、いったいナニモノ・・・
でしょー?不思議な言葉です。単数・複数の区別はあるし、冠詞もあるんですよ。
〉〉動詞を見ただけで人称がわかるようにならないと本が読めない…。しかも「定活用」「不定活用」と二種類の活用がある!むずかしい〜〜〜。
〉そういう言語こそ、SSS式多読向きかもしれないですね〜。
〉文法から勉強するのは、非常に無理がありそうな印象を受けましたが、実際に勉強されてみてどうですか。
わけがわからなくなってきます。覚えることがありすぎて。
多読で覚えられたらいいんですけどねー。頭で覚えるのは非常に無理があるので、たくさん触れて覚えるほうがいいんですけど…素材が…。
〉〉ハンガリー人は自分たちの先祖は東方の騎馬の民だと思ってはいるようですが、実際にハンガリーへ行って現地の人の顔を見ると、とても彫りが深くてギリシア彫刻みたいでした。…ますます謎。
〉ハンガリー、行かれたのですねーー! いいなーー!
〉私は以前、旧東ドイツまでは行ったんですが、他の東欧はまだ未踏。いいな、いいな。
〉祖先が東洋系だとしても、あの位置から考えれば、これまでの数百年か千年で、十分、白人のヨーロッパ人との混血が進んでいるのでしょうねぇ。でもどっちかっていうと、西欧系ではなく、東欧の南部かトルコ方面の人種との混血なのかな。
東欧っぽくなくて、ギリシア系と混ざったかなーと思いました。
〉フン族といい、
〉〉モンゴルといい、遊牧民は世界を覆う…ですね。匈奴だけではなくたくさんの遊牧民族がヨーロッパに流れ込んでいます。
〉まさしく、大陸に国境なしですね。…とさり気なく、入門広場時代の残務を引き継ぎ…
おお、ついに残務レスが。
〉西欧による分割の負の遺産は相当に大きいとは思います。
〉でも、じゃあどうしてそんなにイスラムは西欧にやられちゃったのか、という研究をしている人もいて、
〉それはイスラム側にもスキがあったから、ということなのですが、
〉実際、イスラム王朝はたくさん分立してましたよね。
〉あれは西欧勢から見れば、イスラムは一枚岩ではないから、十分に分断できると、見られてしまったというものです。
〉「分割して統治せよ」というローマ帝国からの伝統はずっと生き続けているのか〜、と思ったものです。
ヨーロッパでは近代になって機械文明が発達したからじゃないでしょうか?
船を作って、機械を作って、武器を作って、世界を力で征服したってことではないかと。現地事情を無視して西欧同士で勝手に領土争いをして国境線を作ってしまって。
ハプスブルク家のオーストリアがいくら伝統ある文化国家だといっても、武力で押してくる新興国プロイセンには勝てません。やっぱり軍事力でしょう。
〉〉〉ヨーロッパはあの狭いところでいくつも国がありますから、領土問題でもめ
〉〉〉るんですね。ローマ帝国時代は「国境紛争」はなかったはずです。
〉〉〉戦争して、勝って支配して。ガリアもブリテンも領土にして。
〉国境をめぐって戦う、と言うより、「敵の部族」との戦い、ですね。
〉動機は何だろう。部族の誇りだけってことはないと思うのですが。
〉なんか『指輪』を思い出しますが。(ako、本は未読。映画もパート1しか見てない)
〉(一応、SSS関連の話もせねば…)
指輪はファンタジーですので、悪者は完全に「悪」の力を持ってますから…。でも西洋人の考え方がそうなのかもしれません。敵は「悪」だと断じてしまう。
〉〉〉中央アジア史をやると、絶対ヘレニズム時代のギリシア文化の影響というのが出てきます。
〉〉〉それで現在のアフガニスタンだのパキスタンだのといった国境はまったくなくて、
〉〉〉「そのあたり」一帯ギリシア彫刻みたいな像だのギリシア風の意匠の出土品
〉〉〉だのザクザク出てくるんです。どんな世界だったのか、想像すると気が遠くなりそうになります。
〉タイムトラベルできるなら、「行ってみたい過去:ベスト10」に入りそう!!
でしょー?おもしろそうでしょー?
〉ヘレニズム時代のアレクサンドロス帝国も、
〉〉〉アレクサンドロスが死ぬと一気に瓦解しいくつかの国に分かれてしまう。
〉〉〉もう固定的国境線など存在しません。
〉「さまよえる国境線…」。 なんかロプノール湖みたいで、ちょっとロマンチック。
〉ただ、前回の話に出たアルザス住民の歴史など知ると、ロマンチックだの多言語が羨ましいだのは、
〉そういう場所で暮らす人の苦しみを無視した安易な発言、ということになってしまいますね。
そのあたりでは「国境線」自体が存在せず、支配者がどんどん変わっていくんです。ギリシア系の王朝が滅んだらササン朝ペルシアが起こってそのあたり一帯を支配し、イスラム帝国がササン朝を滅ぼしたら、今度は西アジア一帯が全部イスラム帝国領、というふうに。イスラム帝国が衰えたら新しい王朝が起こって独立し、また違う王朝ができたら交代し…。という繰り返し。
二つの国にはさまれたアルザス地方とはまったく違います。
〉あっちから疑われ、こっちからは嫌われ。ナチスにつくかどうかを命がけで選ばなければならなかった人々の立場は想像を絶します。
〉スイスもそうです。相当に厳しい選択を迫られた経験の上に成り立つ中立は、スジガネ入りでっせ〜という本を読んだことがあります。
〉で、日本人はどうだろう、と振り返ってみたら、
〉山崎豊子『二つの祖国』を思い出しました。ご覧になった方はおられるかしら。
〉人種の混合は、国家とは関係ないところで進むのに、国家という線引きがあることで、
〉「自分はナニジンだ」というアイデンティティを後から付加される、という感じでした。
東チモール問題など見ますとね…これ以上話を広げるのは止めよう。
〉〉〉異教徒や異民族同士は必ずしも「仲良く」して
〉〉〉きたというわけではないようです。つまり宗教や民族が違う、ということは「赤の他
〉〉〉人」ということなんです。お互い深く付き合わない、干渉しない。ケンカというもの
〉〉〉はある程度対等なもの同士だからこそ成立するのであって、異教徒というものは対等
〉〉〉にはならないからケンカもしない。だからこそ揉め事を起こして大事にならないよう、
〉〉〉隣人同士だからこそ適度な距離を置き、「住み分け」しながら共存してきたそうです。
〉鋭い分析! 「平和共存」の現実的なあり方と言うのは、適度に「不」干渉でいる、という知恵が必要ということか。
異民族や宗教が異なるもの同士がそうそう仲良くはできませんので。だいたい日本人ほど自己主張をしない民族は珍しく、外国ではたいてい自分の意見をはっきり言いますし、妥協をしません。
〉〉〉そういった異質なものに対して排除する姿勢を取ってきたのがヨーロッパと日本
〉〉〉だと思います。ヨーロッパではキリスト教が圧倒的な優位を持っており、日本では
〉〉〉「単一民族幻想」がありますから。
〉キリスト教と、日本人の単一民族幻想を同質のものとして考える…
〉なるほど!! 初めて両者を結び付けて考える視点、考えたことなかった!!
〉杏樹さんが初めてです!!!
少々強引だったかもしれませんが、多民族雑居のアジアの「帝国」と比べるとね…。
〉〉〉ハプスブルクも内情は大変でした。19世紀後半になると各民族が独立を主張し
〉〉〉始め、それを認めると収拾がつかなくなるので弾圧されたり。フランツ・ヨーゼフ
〉〉〉の皇太子ルドルフが皇帝になっていたらもっと違っていたかもしれません。
〉〉〉「ドナウ連邦」という構想があったという説もありますし、
〉これはあり得るかも、と思ってます。今年のEU拡大で、格差「解消」の努力と、
〉米国資本の自由競争による格差「拡大」の、どちらが優勢になるか。
〉私はあまり楽観してませんが…。
補足しますと、
EC→EUの元になった「汎ヨーロッパ」という思想を打ち出したのは、旧ハプスブルク帝国時代の貴族、クーデンホーフ・カレルギー伯爵です。カレルギー伯爵は母親が青山光子という日本人で、多民族国家であるハプスブルク帝国に生きていたからこそそういう思想を持つようになったのでしょう。
〉そうなった場合の仮説ですが、EU内部で、旧東欧圏の自主防衛のための協力策として、
〉ドナウ連合のような形はあり得ると思っています。
〉この場合、ウクライナのように欧州寄りの意識を持っている旧ソ連共和国が絡む可能性もあります。
〉カスピ海油田の石油が、コーカサス3国からウクライナを経由して、
〉東欧に行くそうなので、今後の結びつきは深まるはず、と思ったからです。
東欧までいってますから、そのうちロシアにまで到達する可能性もなくはないかもしれません。そのためにはまさしく「格差解消」の努力が必要でしょう。
〉…なーんて言う本を、英語ですらすら読めるようになりたいんです〜〜〜
〉ako、SSSの究極目標・・・ 一体いつになるんだろう・・・
〉10万語に達するのに4ヶ月もかかってるので・・・
専門書の方がかえって読みやすい場合もあるようですよ。自分の専門なら予備知識がありますし、しかも文学と違って文章が論理的で意味がつかみやすい。…こともあるそうです。よくわかりませんが。でも「TIME」を読む人も出てますし、そのあたりで世界情勢が読めるようになったらまずおもしろいだろうと思います。
〉それでは今夜は、引継ぎの特別編で長くなってしまいましたが、これにて・・・
〉杏樹さん、適度に短くしてね。。。って無責任な。。。
かえって広げてしまったような気がします。
ますます世界史クラブの広場占領計画が進んでしまう…。
「侵略するつもりはなかった」って言い訳しなきゃ。
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