世界史クラブ活動報告 (予定変更で)ORT編(上)ver.1.0  長いです

[掲示板: 〈過去ログ〉英語で趣味を楽しむ -- 最新メッセージID: 1605 // 時刻: 2024/12/27(18:24)]

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[報告] 159. 世界史クラブ活動報告 (予定変更で)ORT編(上)ver.1.0  長いです

お名前: ako
投稿日: 2004/5/22(01:26)

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レベルゼロ〜1を中心に読んでいるakoから、ORT編(上)をお送りします。
多少未読があるので、読み次第改訂しようと思いヴァージョンナンバーつけてます。

尚、ICRからORTへの変更の理由は、
私の多読に回せる時間では、まだ新宿ブッククラブにあるICRの半分も読めておらず、
ICR編としてまとめるほどの冊数が蓄積していないためです。(チクワさん面目ない!)

しかしちょうど時を同じくして読んでいるORTが、実に世界史クラブの視点から見て、
素晴らしい要素を持っていることに気づき、
その感動を「ORT編(上)」として記録しておきたく、ICR・SIRに先立つことになりました。

■ご紹介の主旨■
杏樹さんのGR編と同様、「世界史を知ることは、世界を知ること」、そして「異文化理解」です。
そこで狭い意味での「歴史」に限定せず、「世界を知る」でまとめてみました。
絵が多くの情報を持っている本ですから、英語には現れない部分、
地理、自然環境、服飾、背景にある家具や登場人物が使う小道具なども含まれています。

■ORT全体を通じて■
Biff, Chip, Kipper の家族と共に、一番の隣人として第二の主人公といってもいいのが、
Wilf , Wilma の家族ですが、この家族が黒人であることに、ORT制作者の教育的配慮を思います。
イギリスも、都市部の黒人人口は多く、現実にEU統合が拡大されるにつれ、
今後も、異人種、異民族の共存は、大きなテーマとなっていくでしょう。
子どものうちから、人種の違う人々と、隣人として親しむことは素晴らしいことですね。

近代〜20世紀にかけての長期に渡る、イギリスとアフリカ大陸との関係を考えると、
世界史クラブ的には、つい、いろいろ社会的なことを話したくなってしまいます。

でも、ORTの凄さというのは、背景となる知識の有無を問わず、
「楽しい物語」と「英語の魅力」の両方を楽しめることが第一と思います。
その上で、それぞれの興味に従って細部に目を凝らせば、
いくらでも深めていけるというところです。
このような広場があることを、ありがたく思っています。

また、他の視点からの気づきを持っておられる方のお話もうかがいたいです。
360度全方向から、ORTを味わい尽くしましょう!!

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■ORTステージ1■
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読んだシリーズ…全18冊(6冊×3シリーズ)
Kipper Stories ・ Frist Words ・ Biff and Chip Stories

◆Biff and Chip Stories シリーズから◆
「The Hedgehog 」(総語数2語)

どの文化圏でも、幼児・小学生が読む本に出てくる動物は、
その土地で頻繁に見る生き物だと思います。
日本では見慣れない動物が、英米では当たり前に人里近くにいることを知り、
世界地理(自然地誌)の違いを実感しました。
「他国を知る」とき、自然環境の違いにも目を向けると、
異文化理解が奥行きの深いものになると思います。

◆Biff and Chip Stories シリーズから◆
「The Apple」(総語数2語)

非常に背の高いリンゴの木が登場しますが、リンゴの木は、旧約聖書の冒頭に出てくる点で、
欧米文化の基底にある重要な植物です。
キリスト教家庭の子どもの場合は、教会で、リンゴの木が登場する物語に接することも多いでしょう。
英語圏の文学作品に、隠喩として象徴的に登場することも多いリンゴですが、
このような幼少期から馴染んでいるのかと、改めて驚きました。

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■ORTステージ1+■
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読んだシリーズ 全18冊(6冊×3シリーズ)
First Sentences ・ More First Sentences Pack A ・ First Phonics

◆ More First Sentences Pack A シリーズから◆
「Look After Me」(総語数約40語)

主人公の子どもたちが、自分たちよりももっと小さな子を預かって、一緒に遊ぶ楽しいお話です。
小さい子は黒人の女の子です。早い段階から、人種の違う子どもが登場し、
皆でかわいがって一緒に遊ぶって素敵。
akoには、黒人との混血の甥がいるので他人事とは思えませんでした。
ORTで育つ子どもたちが大人になる世界を想像していると、幸せな気持ちになります。

◆First Phonicsシリーズから◆
「The Mud Pie」(総語数約40語)

非常に単純な理由です。子どもの時にママゴトで遊んだ、泥まんじゅうとか泥団子、
英米文化では、pieがお団子とかおまんじゅうってことなんだ。わー楽しい!

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■ORTステージ2■
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読んだシリーズ 全36冊(6冊×6シリーズ)
Trunk Stories・More Stories Pack A ・More Stories Pack B
Wrens ・ More Wrens ・ First Phonics

◆ More Stories Pack A シリーズから◆
「The Baby-sitter」 (総語数約60語)

パパとママはオシャレして夜のお出かけ。家には学生さん(?)のベビーシッターが来ます。
さて、子どもたち、大人しくしていられるのか? とっても楽しい夜のお話です。
ところで、日本ではこのようなことは日常的かどうか、akoの生活に子どもはいませんのでよく知りません。
今、小学生や幼稚園児のいらっしゃるご家庭の方は、どのように読まれるでしょう。
あくまで異文化として、善悪の価値判断は別にして、イギリスの日常の事実として知りました。

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■ORTステージ3■
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読んだシリーズ 全30冊(6冊×5シリーズ) まだ未読あり。
Trunk Stories ・ More Stories Pack A ・ More Stories Pack B
Wrens ・ First Phonics

◆ First Phonics シリーズから◆
「The Steel Band」(約60語)

皆の学校にプロのバンドが来ます。何とカリブ海のミュージシャンたちなんです!
(いいなぁ、ブエナビスタ・ソシアルクラブ…)←す、すみません、ORTと関係ありません。
ラテンアメリカの音楽が、日常の風景に出てくるなんて、イギリスの子どもたちは羨ましいな〜。
オルケスタ・デ・ラ・ルスのスペイン語の歌なんか、意味不明でも楽しいし〜(これもORTと関係なし。ごめんなさい)
ちなみに、アメリカに行ったことがある方はよくご存知と思いますが、
アメリカでは、地域によっては相当スペイン語が通用します。
ラテン文化は南米だけのものではありませんよね。

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■ORTステージ4■
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読んだシリーズ 全30冊(6冊×5シリーズ)
Trunk Stories
More Stories Pack A ・ More Stories Pack B
More Spallows ・ Fireflies

特定の本ではなく、シリーズごとでまとめます。
◆Trunk Stories◆(6冊の総語数924語)
学校が舞台のお話に、(たぶん)中国系のクラスメートが登場します。
漢字かモンゴル文字か、よくわかりませんが、アジア系文字の本を持っているんです。
シリーズ内のどの本かは、読む方のお楽しみ、としますね。

◆More Stories Pack B◆(6冊の総語数978語)
インド系の隣人が登場します。
肌の色や髪の毛などからもアジア系ということはすぐわかります。
子どもの名前と、室内の壁の装飾品から、インド系だと思われます。
(100%確信がありませんので知ってる方、教えて下さい)
またこのシリーズには、学校行事に中国の旧正月が登場します! 
生徒とお母さんにも中国系の人がいます。どんなお正月行事をするんでしょうね?!

◆More Spallows◆(6冊の総語数403語)
全体としてイスラム系の登場人物のお話です。
子どもの名前から、すぐに中東系とわかりした。また、モスク、食べ物、家族の服装からもわかります。
現在、欧州は明らかにイスラム系、中東系住民が増えていますので、非常に現実的な配慮だと感心してしまいました。
さすがにステージ4。多文化の並存した、素晴らしいシリーズです。

◆Fireflies◆(6冊の総語数1170語)
キッパーたちのお話から離れ、完全に1冊1冊独立した内容で、日本的な科目名で言うと、算数や地理、生物、家庭科です。
世界史クラブで紹介するのは、「World Instrument」(140語)・「Grandad and Me」(130語)の2冊。
前者は、世界の楽器の紹介と同時に、世界旅行気分。
後者は、おじいさんと孫が、それぞれの時代を比べた写真が並びます。
車などは一目で時代の違いがわかって、まさに歴史を感じる1冊。

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■ORTステージ5■
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読んだシリーズ 全24冊(6冊×4シリーズ)
Trunk Stories ・ More Stories Pack A ・ More Stories Pack B ・ Fireflies

◆Trunk Stories◆(6冊の総語数1841語)
さすがにステージ5。多彩です。
このステージからはマジックキーが大活躍。言わばドラえもんのどこでもドアのような不思議な力をもったキー。これが光ると、Kipper たちは、自由自在にタイムとラベル、テレポーテーション。空想が現実になる夢のようなキーなんです。このおかげで、中世の城へは行くわ、一時代前の海賊たちとは出会うわ、次々と、「ナントカカントカAdventure」が繰り出され、時代をこえたアドベンチャーこそ世界史のお楽しみだっ!て感じです。
イラストを見ているだけで、楽しい世界史マンガを読んでいる気分。

日本でも、信長・秀吉時代が人気があるのと同じですね。
海賊を日本に当てはめるとしたら、倭寇かな、瀬戸内海の村上水軍かな。
村上水軍は「賊」ではないと思いますが。
なおイギリスで海賊が一番活躍したのは、エリザベス1世(16世紀。シェイクスピアの)時代。
彼らの海賊行為は、「民間人の非合法戦闘行為」ではなく、女王公認だったんですよぉ〜。
不思議なことに、日本でも人気の信長・秀吉時代と、まったく同時代なんです。
歴史って面白いでしょぉぉぉ(ダメかな、こういう誘い方は)

◆More Stories Pack A シリーズから◆
「Underground Adventure」(292語)
地底の洞窟に住む小人たちが出てきます。小人たちというのはゲルマン民族の文化です。
ゲルマン民族の故郷である北欧やドイツから、イギリスに伝わったものでしょう。
小人たちを示す英語は、ドイツ語に同じもの(スペルが少し違います)があるんですよ。
ドイツでは、森の小人たちは、人が寝ている間に掃除やお皿洗いをしてくれる、人間の味方。
だからヨーロッパ中で愛される存在になったのかな。悪い小人が出てくる絵本ってあるのかな。

「It's Not Fair」(349語)
Biff がマジックキーで、イギリス史の英雄アーサー王と円卓の騎士たちのど真ん中に行ってしまうという、
わくわくするようなお話。女の子の Biff は、一体、騎士たちと何の話をするのかしら。
そして円卓の騎士たちの円卓は、なぜ四角いテーブルではなく、「円」卓になったのか、
ORT 風の歴史解釈が登場! アーサー王物語とリンクして読めば面白さ倍増です。
アタシのランスロット様はどんな顔で描かれているのかしら〜〜〜 
(円卓の騎士は、皆、素敵なの!ここハートマーク欲しい!)

「A Monster Mistake」(334語)
スコットランドに皆がキャンプに来ます。背景に描かれた風景画が、見事。
日本の森林とは違う、英国の自然環境の様子が正確に描かれています。
急峻な山はなく、深い森もなく、見通しのいい丘とヒースの… 嵐が丘やピーターラビットの舞台ですね。
空気までが違うように感じました。
英国には深い森がないのはどうしてか知っていますか。これは18世紀に起きた産業革命で、
石炭燃料に使うため、大量に森林を伐採したためです。
ナショナルトラストが活発なのも、歴史に理由があるんですね。

◆More Stories Pack B シリーズから◆

「Noah's Ark Adventure」(365語)
インディー・ジョーンズ失われたアーク…ではありません。
今度は子どもたち、何と旧約聖書の時代まで行ってしまいます。
しかも地面が水没するほどの長い長い大雨が降り続くところへ。
あとは聖書と同じ物語が展開します。アークってこれかぁ。
教会で、学校で、生活の色々な場面で、英語圏の子どもたちは聖書と親しむんですね。

◆Fireflies シリーズから◆
「Houses Then and Now」(300語)
写真と、短い説明で、イギリスの住宅の今昔を紹介します。洗濯場や台所、居間には、特に時代を感じました。素敵です!
そして19世紀の居間のことを、そういう風に言うなんて〜〜 びっくり。
現代日本にもある、とある遊興施設に使われる英語が、
実はこーんなのどかな家庭用語だったとは!
なるほど、リラックスして、趣味のことなどして過ごす場所という意味では同じことか、と感心した次第。

「E-mails Home」(350語)
少年がメールで世界中を旅した話、その写真。世界旅行気分です。万里の長城やカラハリ砂漠も出てきました。
モンゴル共和国ではなく、中国の中にある「内モンゴル自治区」のことを、
英語でこういう風に言うのか〜〜って初めて知りました。

「Public Art」(450語)
どうして世界史クラブでアートの本かというと、この本にイースター島のモアイが出てくるからだけじゃないんです!
街の公共の場所には、その国で歴史上尊敬されている人物の彫刻や銅像があります。
それらが、他のさまざまなアート作品と並べて紹介されているこの本のおかげで、
歴史とアートの接点を教えてもらえたように思ったからです。
編集者の視点によって、通常なされているジャンル分類の線引きは、
いくらでも相対化することができるものなのだと、たいへん勉強になりました。

「Wonders of the World」(600語)
タイトルの通り、世界の素晴らしい場所へといざなってくれるパノラマ写真と解説。
それは、マリアナ海溝から大氷河まで、地球上の大自然を満喫しつつ、
子どもたちは、世界で一番○○なところを学習することが出来るようになっています。
子ども向きの世界地理の教科書として最良と思います。

以上、ORT編(上)でした。
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SSS式多読を始めて、まだ日の浅い私ですが、
杏樹さんが立ち上げ、さらに部活投稿を愛読してくださるチクワさんに機会をいただいて、
自分にとっては、まさに「好きなことで英語」という幸せな企画を体験させていただけて、
お二人には深く感謝いたします。
特にこの企画は、チクワさんが「子ども向けでさりげなく歴史にも触れるようなものを…」との
ご提案をいただいたことから始まった話です。Special thanks to CHIKUWA-san !!

杏樹部長に引き続き、ペギー双葉山さん投稿の
「読みやすいレポート書き方講座」(練習の広場)を参照しております。深謝。


▼返答


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