【1. 前振り】
今日は日本語の本、といっても翻訳本のことを書きます。是非読んで欲しい、
というには余りに懐古的だし、個人的なことなのでいささかはばかられる思
いですが、どうしても書いておきたい。
大昔のSFの話題と最新の話題なので興味ない方はパスしてくださいね!。
【2. お気に入りの一編】
SF作家アルフレッド・ベスターの短編集「The Dark Side Of The Earth
(1964年)」の中にある「They Don't Make Life Like They Used To」と
いう短編(20頁くらい?)日本語タイトルは「ジープを走らせる娘」を紹介します。
私が初めて読んだのは創元推理文庫の年間SF傑作集3(1968年番)で、
それ以来何回読んだかわかりません。とても好きなのです。この10年でも
5〜6回は読んでいると思う。舞台は核戦争直後のマンハッタン。登場人物は
ジープを運転する娘と、ひとの良いしかしちょっとまじめな男の二人。わけ
あって核戦争を生き延びた2人の淡い、ほんとに淡い恋物語。当時中学生
だった私が引き込まれてしまった物語なのであります(あーはずかし)。
【3. SSS多読との関連】
これがSSS多読とどう結びつくのか?多読を始めると、昔読んだ本の原書が読み
たくなる人って多いんじゃないかと思うのです。去年の冬、この短編の原作
を捜そうと思いつき、アマゾンで調べたんですがさすがに無いんですね。1960
年代ですものね。あるわけがない。それでアマゾン古本(amazonUS)で検索を
かけたら1976年版の別の短編集「Star light, star bright」の中に収録され
ているのを見つけました。やったね!
19ドル(送料9ドル込み)。ハードカバーが届いたときはうれしかったですよ。
これが読めたというのもうれしかったなあ。多読のおかげ。でもなぜか
「日本語訳」の方が何倍か味わい深いとも思い、訳者もすごいなと思いました。
【4. 奇想コレクション】
さてここからは、最近の話です。
最近河出書房新社から、一風変わったシリーズが刊行され始めました。
「奇想コレクション」といいます。
■既刊
☆「夜更けのエントロピー」ダン・シモンズ (著), 嶋田洋一 (訳)
☆「不思議のひと触れ」シオドア・スタージョン (著), 大森望 (編)
☆「ふたりジャネット」テリー・ビッスン (著), 中村融 (編訳)
☆「フェッセンデンの宇宙」エドモンド・ハミルトン (著), 中村融 (編訳)
☆アルフレッド・ベスター『願い星、叶い星』(中村融編訳) 2004/10/22発売
10月の終わりに出版されたこの『願い星、叶い星』というのが、私が手にした「Star light,
star bright」なんです!ちょっと驚き。初版から30年後の翻訳(復刻?)。早速注文しました。
さて、このシリーズ更に続くようです。
■刊行予定
☆シオドア・スタージョン『輝く断片』(大森望編)
☆アヴラム・デイヴィッドスン『どんがらがん』(殊能将之編)
☆ウィル・セルフ『ごっつい野郎のごっつい玩具』(安原和見訳)
☆ゼナ・ヘンダースン『ページをめくると』(安野玲、山田順子?訳)
☆グレッグ・イーガン『TAP』(山岸真編訳)
☆ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』(伊藤典夫編)
☆コニー・ウィリス『最後のウィネベーゴ』(大森望編訳)
知らない本も多いけど、でも懐かしい作家も多く、このシリーズ面白そうです。
昔のSFが好きだった人にはたまらないシリーズだと思います。
【5.終わりに】
ところでアルフレッド・ベスターって、今でも好きな人はぞっこんの作家なのです。
アジモフやACクラークやハインラインなどより「らしい」作家かもしれません。
全く古くならない。この叢書を期に、読まれる方が増えたらうれしいな。
というわけで、懐古趣味に走る本日のMOMA親爺でござんした。おそまつ。SF興味ない方はごめんなさいね!