Down and out in Oxford

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[汗] 616. Down and out in Oxford

お名前: 酒井@イギリス滞在中
投稿日: 2003/5/13(07:04)

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STINGRAYさん、バナナさん、まりあさん、古川さん、
プリンターのことではいろいろありがとうございました。

重くて大きなプリンターをしょってきて、こんなに時間が
かかるとは思いませんでした。でもなんとかきょうやっと
プリンターが使えるようになり、すこし落ち着くと思います。
食事のパターンも決まってきたし、講義の準備も大変は大変だ
けれども、パターンができてきた。うまいコーヒー屋も
見つかったし、あとは出版社と著者に会うのが決まってくれば・・・

プリンターについてだけでも1回分の報告になるのですが、
これはまたいつかにしましょう。きょうは先週の木曜日に
打ちのめされた話・・・ やっと立ち直ってきて報告。

木曜日に Theory of Translation という授業を受け始めました。
先生は62、3かという白髪の品の良い知識を包容力を兼ね備えた
教授であります。

で、打ちのめされたのは知識の量がちがう!
個人的に頭の質がちがうとは思いたくないし、
日本人とイギリス人でちがうはずもないし、
やっとこじつけた知識量のちがいの原因は
英語を読む速さ、その結果として読んだ量のちがい、
ということでした。

日本人の学者の場合、(ぼくは自分を学者だとは思っていません)
たとえばマックス・ウェーバーの著書を何ヶ月かかけて、
独和辞典を引きながら読むのでしょう。そしておぼろげながら
マックス・ウェーバーの言いたいことを解釈して、
どう解釈したかを1本の論文に仕立て上げる。
まあ、戯画化していますが、基本的にそういうことを
何十年もやるのです。

ヨーロッパの学者は同じ本を数週間で読んで、
大事なところだけを自分の考えの肥やしにする。
そうやって何ヶ月かのうちには日本人の学者の3倍とか
5倍くらいの肥やしを仕入れる。

そして夏休みには別荘に行って、じっくり自分の考えをまとめて、
3年に半年、または6年に1年の休暇を使って本を書く。
その間には世界中の友人たちと意見交換をして、内容と文章を
磨いていく・・・

どうにも同じ土俵では相手になりませんね、少なくとも
人文社会科学の分野ではね。
くやしい。

翻訳についてだって、欧米の連中はキリスト教の聖書の
正統性を保ちたいから、すでにもう何百年も議論している。
そこに、ぼくみたいにたかだか数十年(?)わずかな翻訳を
して、そのあいだに考えたことがまとまっていないような人間が
入っていっても、ほとんどなにも言えない!
くやしい。

ぼくはもう年とっていているから、いまからヨーロッパの
学者に対抗するのは無理ですね。

でも、このままじゃいやだから、「快読!」にも書きましたが、
これからの若い人は大学にはいったら欧米の大学生と同じ本を
同じ理解度で読めるようになってほしい。そのために残りの
人生を使うことにしよう。

ぼくは息子に、英語と、日本の古典と、中国の古典をやっときなさい。
それであと「書くこと」がちゃんとできれば欧米に負けないからと
言ってるんです。(勝ち負けなんて、いつも言ったことないのに・・・)
ちょっとこだわりすぎかなあ・・・

あー、ショックで頭の中がばらばらみたいだ・・・
やっとこういう風に書けるところまで立ち直ったと思ったのに、
まだ気持ちが整理できてないんだろうなあ・・・
(「どうして?」に書いた大英博物館の衝撃をもっとちゃんと
受け止めていれば、もうちょっとマシだったはずだな・・・
考えてみればそれもがっかりだ・・・)

ふー、この話題、続きを書くかもしれませんね・・・


▼返答


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