“規範”と“事実”

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2423. “規範”と“事実”

お名前: たかぽん http://dandelion3939.blog38.fc2.com/
投稿日: 2013/7/27(02:39)

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faure1845さん、こんばんは。ありがとうございます!

〉〉〉roofについてる、吹き抜けの窓で、掃除する人しか手が届かない、洋風建築のモダンな建物の天井の窓・・・って日本には(日本しか知らないです)ありませんでしたっけ?

〉〉「天窓」ですか? どうでしょう。むかしの日本にはあったのか… (平賀源内あたりが、天窓から天体観測しているような図が、頭には浮かんでいるのですが…)

〉そうです、天窓を言おうとしたのです。

「天窓」は skylight というので、あっ、window じゃないのかな?と思ったら、辞書では window と説明されてますね。。 (例:a window in the roof of a building (LDOCE))

〉もし平賀源内の時代からあったのでしたら、西洋建築風というのはあまりいい言い方ではないですね。

あ、すみません。「平賀源内」は当てずっぽうを言ったまでで、私の勝手な想像ですので。。

〉〉〉複数調べるのが面白かったのが、使っている単語が違うことで、守備範囲がそれぞれ違うけれど・・・もしかしたらネイティヴはどちらをよんでも当たり前のように「はいはいはい(もちろん、定義説明が不十分だなと思うとは思いますが。)」とすぐ合点行くのでしょうか。

〉〉どうなんでしょうね。。ただ、英語(とか欧米)の文化というのは、わりと定義にうるさい感じがします。日本語の辞書だと、言い換えが多くて、あまり厳密に定義しないところ、英語の辞書だと、子供用辞書でも、きちんと定義しようという姿勢が見られる。で、各社それぞれに、使える語や語数に制限のあるなかで、様々な定義を試みている、という感じですね。一般の人でも、けっこううるさくて、この定義は違うとか何とか、こだわりがあるのかも。

〉確かにそうですね。各社のカラーがありますよね。それで面白くて、三つほど英英の定義をシンプルではありますが、載せさせていただきました。

ありがとうございます。とても面白かったです。

〉因みに、僕は、英会話を習っている以上、細かくチェックしています。

ニュアンスの違いなどに、興味がわきますもんね。

〉例えば、生粋のアメリカ人講師ならアメリカ英語、クイーンズイングリッシュをしゃべるように努めているイギリス人講師ならイギリス英語をなるべく吸収できるようにしています。

アメリカ英語とイギリス英語の違いも、かなりあって、面白いですよね。発音の違いもさることながら、apartment と flat とか… 他が出て来ませんが、いろいろありますよね。

〉それで、結構個人個人で、英会話講師でも、教えるという線を越えてもこだわっているという印象を受けます。

こだわりは強いと思いますよ。あちらの人は、一見奔放に見えても、自分なりのルールに厳格な感じがします。日本人のほうが、日本語に対して、ゆるい感覚を持っているかも… (ルールに、ではなく、大勢に順応する。)

〉それは、言語そのものに興味を持っていたり、教えること自体に喜びを感じていたり、色々理由はあるのでしょうが。

英会話の先生だと、より一層、こだわりが強いかもですね。

〉広辞苑の言い換えには驚いたことがあります。コアな語彙はこれだとわかるまでに、何度引けばよいのかと・・・。

言い換えが主で、説明が、あまり無いんですよね…。

説明があっても、よくわからなかったりする。たとえば、いま「共和制」を広辞苑で引いてみたんですが、こう書いてある。

 (republic)主権が国民にあり、国民の選んだ代表者たちが合議で政治を行う体制。
 国民が直接・間接の選挙で国の元首を選ぶことを原則とする。共和政体。←→君主制

それって、民主制と同じこと? だったら、日本は共和制か? というと、日本共和国なんていわないし、the Republic of Japan なんて聞いたこともない。

よくわからないので、英英辞書(OALD)で republic を引きますと、

 a country that is governed by a president and politicians elected
 by the people and where there is no king or queen

明快にわかる。日本は共和国ではなく君主国(立憲君主国 a constitutional monarchy(= a country with a king or queen, whose power is controlled by a set of laws and basic principles))なんだなとわかる。

日本語って、定義とか説明が苦手なんかしら? そんなことはないはずだが…。日本では、神の言葉(聖典)の意味を解釈する、そこを徹底的に厳格にやる、ということをやってきていないから、言葉に対して、ゆるいのかな? などと考えてしまうのですが、どうなんでしょうね。

〉あと、ちょっと付け足しで載っている言い換え可能な語彙、これはイコールなのではなくとも、どのくらい近いの?と問いたくなることがありますが、それは大辞林でも同じでした。

わりと、そこらへんも、ゆるいですよね…。日本語の伸縮自在さのあらわれだと思いますが。

〉ジーニアス+広辞苑で大学受験の英文読解を乗り切ろうとしたことがあって、それも懐かしい思い出です。

〉ジーニアスでニュアンスと語源を見て、広辞苑でも日本語をよく読んで、源までさかのぼって、ペンや手を使って、ニュアンスや日本語の中の論理を読み解こうとしましたが・・・一応入試の得点はアップしたので、良かったとは思いますが、多読を始めるずっと前の話です。

すごい勉強をなさってたんですね…。三島由紀夫も、幼い神津カンナさんに、辞書をとにかくよく引きなさい、とアドバイスしてたそうで。

〉〉〉windowって守備範囲広そうですね。

〉〉上にも書きましたが、言葉の定義については、けっこう、厳密に考えられてるんだと思います。ある一つの開け方を、絶対のものであるかのように定義するのは、広い同意が得られないのでしょうね。

〉上の話と共通しますが、英会話講師同士もコンセンサスが得られないことがどうやら多そうです。

難しく言えば、欧米の方は、“規範”と“事実”の区別が、はっきりしていることが多いような気がします。ルールがどうであるのか、ということと、実際どうか、ということと。

「いくら、あるところで下から開ける window が多かったとしても、『下から開ける』を window の定義に入れるのは、おかしい。そういうものが多いというのは単なる“事実”であって、下から開けなきゃ window じゃない!という“規範”になっているわけではない」などと考えると思います。

一方、日本人は、「サルまね」と言いますか、下から開けるのが window だ!と、つい思ってしまう。“事実”と“規範”の区別がついていないから。多く見たものを“規範”だと思ってしまう。。

ということを考えると、絵本や映像その他の多読多聴も良いのですけれど、やっぱり生身で教わっているわけではないので、とんだ誤解を積み重ねてしまう危険もありますね。これが window なんだ!と思い込んでしまうようなのが典型です。

そうした弊害を避けるためには、やはり、英英辞書をよく引いて読む、など、「原典を参照する」という姿勢が、有効かもしれませんね。英米人が、無意識にせよ、“規範”としているものが、英英辞書などには詰まっていると思います。外国人は、それをよく引いて理解して初めて、英語がわかるようになるのかもしれません。

〉〉〉紙の窓は初めて聞きました。

〉〉障子窓とか…

〉障子窓ですね。

それ以外には無かったですね。。

〉〉〉日本と西洋の窓のイメージの違いって面白そうですね。

〉〉「まど」とwindowの違いは、あんまり無くて、ただ「まど」は、穴そのものよりも、そこにはまっているもの(ガラス戸、障子、格子etc.)も含めて、一体として「まど」と考える意識が強いのかなぁ、というのが、私の感想なのですが、どうなんでしょうね。。

〉インテリア、家屋、空間に関する認識が日本は独特に発達してきたという評論を昔読んだことがあります。

〉それを漠然と思い出しながら、上の文を読んでいるのですが、そこにはまっているもの、という言葉に強く共感します。

ありがとうございます。よくわからないんですけどね…。西洋では、建物と、その付属物が、わりとはっきり分かれていると思うんですね。家そのものと、そこに付属するドアやらガラス戸なんかは、明確に分けられるのが原則かと思います。ところが、伝統的な日本家屋は、戸をはめてそれが外壁となり、襖や障子で部屋の仕切り壁となります。建具が建物と一体になる感じが強い。なので「まど」と言ったときも、window とは、対象のとらえ方に違いが出て来るのかな…

〉〉〉〉明鏡は手元にありません。。
〉〉〉〉確かに、「外との仕切り」のニュアンスがあってもよさそうですね。

〉〉〉ここ、重要だと思ったのです。私は。

〉〉〉壁のように、窓も仕切りのイメージが結構ある人がいらっしゃると思ったので。

〉〉〉そうすると、マジックミラーの窓はどうなるだろうか?という第二の疑問もありますが、それはややこしすぎそうですね。

〉〉そうですね。私もいささか混乱してきましたが。。ところで、マジックミラーの発明者って、タレントの千秋さんのお祖父さん?とか聞いたような。(関係ないですね…)

〉色々と教えて頂き、ありがたいです。

すみません、お父さん、みたいです…。

〉〉未読なのですが、面白そうだと思って、こんな本も買ってます。。

〉〉安藤貞雄『英語の論理・日本語の論理』
〉〉[url:http://www.amazon.co.jp/dp/4469240931/sss-22]

〉安藤貞雄氏の英文法の本を何年か前に買いましたが、読みこなせませんでした。

おお! 私も、日本語で書かれた英文法書としては最高峰とも言われる、『現代英文法講義』を買ったんですが、ぜんぜん読めてません…。
[url:http://www.amazon.co.jp/dp/4758910219/sss-22]
でも、拾い読みして、その説明の鮮やかさに、すっげーと感嘆しています。

〉しかし、大好きでかつ尊敬している先生なので、是非とも読んでみたいです!

私も頑張って読みます!

〉〉〉〉〉忌憚のないご意見を、ということで書かせていただきましたが、余計だったとしたらすみません。

〉〉〉〉とんでもございません。すごく刺激になり、とても参考になりました!
〉〉〉〉ありがとうございました。

〉〉〉であれば、私も参考になりましたし、刺激を頂きましたので、とても嬉しいです。

〉〉〉第二の疑問が分からないのは、単なる私の英語圏の情報不足で、他の方を手間取らせたり、貴重な時間を浪費させてしまわないといいのですが。

〉〉心配ご無用だと思いますよ。みなさん、「いい加減」をご存じです(笑)。

〉「いい加減」、大事にしたい文化ですね。

〉僕も大事にしたいと思っているので、あまり堅苦しい長文ばかり投稿しないように、「いい加減」覚えたいものです。

ご自身にとって、楽しい「いい加減」ならば、いいんじゃないでしょうか? 長文でも何でも。どの加減がいいかは、人それぞれでしょう。

それではでは!


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